欧州主要感染国との航空便を制限、政府機関には海外出張取り止めを勧告

(ロシア)

モスクワ発

2020年03月13日

ロシア政府は3月11日、欧州での新型コロナウイルス感染拡大を受け、更なる予防措置として3月13日からロシアとイタリア、ドイツ、スペイン、フランスとの航空便を一時的に停止することを決定した。ただし、モスクワとローマ、ベルリン、ミュンヘン、フランクフルト、マドリード、バルセロナ、パリとの各往復定期便と、ロシア国民および当該国民の帰国のためのチャーター便は対象外。これらの便の発着はシェレメチェボ空港のターミナルFに集約される。ターミナルFは既に運行制限の対象となっている中国(2020年2月4日記事参照)、韓国(2020年3月2日記事参照)、イラン(2020年3月3日記事参照)を結ぶ便の発着点にもなっている。同ターミナルで集中的に入国者の検疫を行う目的とみられる。

同じく13日から、商用、人道目的、外交、公用目的を除き、イタリア人に対するビザ発給を停止する。

またロシア政府は、連邦政府および地方政府機関に対し、極めて重要かつ緊急のイベントでない限り、ビジネス、スポーツ、文化、娯楽など公共イベントの開催数を抑制するとともに、できる限りビデオ形式や無観客で実施するよう勧告した。

連邦政府機関に対しては、緊急性があるもの、大統領や政府の指示に基づくもの、国の安全保障に関わるものを除き、海外出張の取りやめを勧告した。同機関の職員に対しても、緊急性がない限り、新型コロナウイルス感染が拡大する国々への旅行を控えるよう勧告した。

出張自粛の動きは企業にも広がっている。ロシア鉄道とガスプロムは既に海外出張や国際会議の参加を取り止めた。ネット大手のヤンデックスも中国、韓国、イタリア、イラン、日本などへの出張を自粛している(タス通信2月28日)。

主要経済紙「ベドモスチ」(3月4日)によると、ネット大手のメール・ルー・グループは日本を含む感染拡大国への出張禁止、国有石油輸送大手トランスネフチは国内外の出張を制限するとともに国際会議の参加を中止した。在ロシア外国企業の中でもダノンは3月31日まで全ての海外出張を禁止、ユニリーバも日本、中国、韓国、イタリア、イランなどへの出張を取り止めている。

(浅元薫哉、エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア)

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