福建省、海南省、広西チワン族自治区の2019年GRP成長率、鈍化もしくは横ばいに
(中国)
広州発
2020年03月25日
福建省、海南省、広西チワン族自治区が発表した2019年の域内総生産(GRP)をみると、3省・自治区とも投資、消費の減速などにより、伸び率が鈍化もしくは横ばいとなった。GRP成長率は、福建省は前年比7.6%(前年比0.7ポイント減)、海南省は5.8%増(横ばい)、広西チワン族自治区は6.0%(0.8ポイント減)(表参照)だった。
消費や投資が伸び悩み
社会消費品小売総額は、福建省が10.0%増(前年比0.8ポイント減)、海南省5.3%増(1.5ポイント減)、広西チワン族自治区7.0%増(2.3ポイント減)といずれも伸び悩んだ。
固定資産投資額は、福建省が6.0%増(5.5ポイント減)と1桁の伸びになった。海南省は9.2%減(3.3ポイント増)と減少が続いた。広西チワン族自治区は9.5%増(1.3ポイント減)だった。
輸出は堅調、ASEANとの貿易が好調
貿易は総じて堅調で、3省・自治区ともに、伸び率は全国(3.4%増)を上回った。特に、ASEANとの貿易が伸びた。
福建省は前年比7.8%増の1兆3,307億元(約21兆2,912億円、1元=約16円)で、うち輸出は8.7%増、輸入は6.3%増となった。米国との貿易額が14.3%減だった一方、ASEANは17.5%増、EUも9.4%増だった。
海南省は6.8%増の906億元で、うち輸出は15.4%増と2桁増になった(輸入は2.1%増)。全貿易額の3割以上を占めるASEAN向け貿易額が42.3%増と大きく伸びた一方で、米国は24.1%減少した。
広西チワン族自治区は14.4%増の4,695億元で、うち輸出は19.4%増、輸入は8.7%増だった。ASEANとの貿易額は全貿易額の約5割(49.7%)を占めており、13.3%増と堅調だったほか、EUは46.9%増、日本は33.5%増といずれも高い伸びを示した。
3省・自治区の政府活動報告では、2020年の成長率目標をそれぞれ7.0~7.5%(福建省)、6.5%(海南省)、6.0~6.5%(広西チワン族自治区)としている。福建省はデジタル産業、先進製造業、新エネ・新素材産業など、海南省は医療、観光、新エネルギー車産業など、広西チワン族自治区は鉄鋼業、先進製造業、自動車などを、重点分野に位置付けている。
3月16日に中国国家統計局が発表した、2020年1~2月の中国のマクロ統計では、一定規模以上の工業付加価値増加額が前年同期比13.5%減、社会消費品小売総額が20.5%減、固定資産投資額が24.5%減と軒並み減少しており、新型コロナウイルスの感染拡大が中国経済に与える影響についても懸念が広がっている。
3省・自治区政府では、新型コロナウイルスに関する一連の支援策を打ち出しており、福建省は「貿易、外資を安定化させ、消費を促進するための26条の政策」、広西チワン族自治区は「疫病予防・貿易安定の18条措置」などを発表し、景気の下支えを行っている。
(郭冬梅)
(中国)
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