カナダ連邦議会、1,070億Cドルの新型コロナウイルス対策財政支援措置法案を可決

(カナダ)

トロント発

2020年03月30日

カナダ連邦議会上院は3月25日、与野党一致で1,070億カナダドル(8兆3,460億円、Cドル、1Cドル=約78円)の新型コロナウイルス対策財政支援措置法案を可決外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

法案には、既に発表されていた2つの労働者支援策「緊急介助給付(Emergency Care Benefit)」および「緊急支援給付(Emergency Support Benefit)」が、「カナダ緊急対応給付(Canada Emergency Response Benefit:CERB)」として新たに統合され、コロナウイルスの感染拡大の影響により収入を失った労働者へ、月額2,000Cドルを最長4カ月間、直接支給することなどが盛り込まれた。支援措置の対象となるのは、15歳以上かつ過去12カ月間で5,000Cドル以上の収入があったカナダ国民で、新型コロナウイルスの影響で14日以上無給となった労働者となる。フリーランスなど現状の雇用保険の対象とならない自営業者も含まれる。

この支援拡大に伴い、元々820億Cドルで上程されていた法案予算(2020年3月19日記事参照)を1,070億Cドルに増額したとビル・モルノー財務相は説明した(CBCニュース3月25日)。支援対策は520億Cドルの直接支援と550億Cドルの税繰延で構成される。

カナダの世論調査実施機関であるアンガス・リード研究所が2月20~23日にカナダ人の成人1,664人に対して行った新型コロナウイルス感染症の家計への影響に関する調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、回答者の44%は本人、または家族が自宅待機などで勤務時間を短縮もしくは解雇され、うち66%はその間の給与などは一切支払われていないという。時短勤務や解雇された労働者を年齢別にみると、18~24歳では45%と半数近くに達しており、他の年代(20~30%程度)に比べ突出している。さらに、「グローブ・アンド・メール」紙は3月25日、カナダ歳入庁の高官による非公式な見解として、CERBの申請件数が今後2週間で400万件に達するとみていると報じている。

労働者救済と同時進行で、国内の新型コロナウイルス感染拡大防止対策も厳格化している。連邦政府のパティ・ハイデュ保健相は3月25日、モノやサービスを供給するために国境を越える業務や必要不可欠なサービスへの従事者を除き、26日からカナダへの入国者に14日間の自己隔離を義務付けると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナウイルスの症状がみられる入国者には公共交通機関の使用も禁止される。これまでにも入国者へは14日間の自己隔離が要請されてきたが、今後は検疫法のもと、違反者には罰金や刑事罰の対象となる。

保健相の会見に同席したクリスティア・フリーランド副首相は、旅行者が自己隔離措置を遵守しているかを確認するため、カナダ国境サービス庁は入国者の連絡先情報を収集するとコメントした。さらに、ハイデュ保健相は自己隔離措置の遵守が疑われるケースを通報するホットラインの設置も検討しているとコメントしている(CBCニュース3月25日)。

カナダ政府の発表によると、現地時間3月26日午後6時時点のカナダの感染者数は4,018人、死者39人となっている。

(酒井拓司、飯田洋子)

(カナダ)

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