操業停止でも給与支払いが義務に、今後資金繰り悪化の懸念も

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年03月26日

3月18日から実施されている移動制限令について、国家安全保障委員会および国際貿易産業省(MITI)は特定の業種に対して、操業申請を認める方針を示している(2020年3月19日記事参照)。食料品、医療機器、それらの資材などについては、承認を得て操業を継続または再開する一部の製造業もある。

他方、日系製造業では、主な生産品目が政府の指定業種に合致しないという理由から操業申請が承認されず、操業を停止せざるを得ない企業が相次いでいる。

人的資源省が3月19日に発表した「よくある質問(FAQ)」(注)によると、移動制限令により、工場や事業所を閉鎖している場合でも、雇用契約に基づき給与の全額支払いが必要となる。また、同令の期間中に、雇用者が従業員に対して有給休暇または無給休暇を取得させることは認められない。

移動制限令延長の可能性も

ムヒディン・ヤシン首相は3月23日の会見において、移動制限令の期限である3月末までの状況次第で、移動制限令の1~2週間の延長を検討すると発言した。操業停止中の企業にとっては、売上が立たない一方、給与は通常通り支払わなければならないため、移動制限令が長引けば、資金繰りの悪化などにより深刻な経営難に陥る恐れがある。

(注)人的資源省のFAQはマレー語のみ。在マレーシア日本国大使館のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて、英語及び日本語の仮訳が掲載されている。

(田中麻理)

(マレーシア)

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