新型コロナウイルス対策で空港閉鎖、株式市場は近年最大の下げ幅

(エジプト)

カイロ発

2020年03月18日

エジプトのモスタファ・マドゥーリー首相は3月16日、新型コロナウイルス拡大防止のために3月19日正午~31日までの間、エジプト国内すべての空港を閉鎖し、航空機の発着を停止する方針を公表した。その後、マドゥーリー首相はエジプトからの出国は認めると発表した。これに伴い、閉鎖前に多くの在エジプト外国人や在外エジプト人の移動が予想され、航空便手配や空港での混乱が見込まれる。マドゥーリー首相は既に3月9日には大規模集会の中止を要請しており(2020年3月11日記事参照)、3月15日には大学を含む学校へ2週間の休校を要請している。日系企業を含む一部の在エジプト外国企業・国際団体は、在宅勤務などの対策を実施しているという。

エジプト政府によると、国内において、3月16日時点では166人の感染が判明している(うち外国人70人以上、死者4人)。なお、英紙「ガーディアン」や米紙「New York Times」によると、これまでに少なくとも97人の世界各国からのエジプト渡航者は本国へ帰国後に新型コロナウイルスを発症しており、エジプト政府公式の感染数よりも実際のエジプト国内での感染数は多く、数千人から数万人との推測を述べている。一方で、両メディアに対しエジプト政府は、実際の数値を公表していると主張している。感染状況や出入国制限は日々流動的なため、エジプトでの渡航やビジネスにあたっては、在エジプト日本国大使館が公表している「エジプトにおける新型コロナウイルス関連情報」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどで最新情報を確認する必要がある。

空港閉鎖や集会の自粛により、エジプト経済への影響が懸念される。エジプト株式市場において、3月15日のEGX30指数、EGX100指数は2012年以降で最大の下げ幅を記録した。16日も大幅に下落しており、個別企業の株価も薬局関連などを除き、軒並み下落している。現地報道によると、アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は感染拡大防止など新型コロナウイルス対策のために1,000億エジプト・ポンド(約6,700億円、1エジプト・ポンド=約6.7円)の予算を割り当てると述べたという。

(井澤壌士)

(エジプト)

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