欧州議会、ブレグジットに伴い議席配分を見直し
(EU、英国)
ブリュッセル発
2020年02月03日
英国のEU離脱(ブレグジット)に伴い、欧州議会は2月1日付で、議席配分の見直しを行った。英国はブレグジットでEU機関での代表権を失い、英国に割り当てられていた73議席のうち、27議席はEU加盟国で再配分し、残る46議席については、将来の新規加盟国のために保留する。総議席数は、ブレグジット前の751議席から705議席に削減された。
欧州議会議員の議席はおおむね人口見合いで、加盟国ごとに配分された上で、2019年5月に実施された欧州議会選挙の結果に応じて、各加盟国の会派に振り分けられている。今回のブレグジットの結果に伴う、新たな国別枠の追加割り当ての議席数(増分)は次のとおり。
- フランス:5議席(計79議席)
- イタリア:3議席(計76議席)
- スペイン:5議席(計59議席)
- ポーランド:1議席(計52議席)
- ルーマニア:1議席(計33議席)
- オランダ:3議席(計29議席)
- スウェーデン:1議席(計21議席)
- オーストリア:1議席(計19議席)
- デンマーク:1議席(計14議席)
- スロバキア:1議席(計14議席)
- フィンランド:1議席(計14議席)
- アイルランド:2議席(計13議席)
- クロアチア:1議席(計12議席)
- エストニア:1議席(計7議席)
なお、そのほかの国の議席数は変更なし。ドイツ(96議席)については、1カ国の上限議席数が96のため変更なし。
ブレグジットに伴い、欧州議会勢力は中核の親EU派が増勢
また、この結果、各会派の議席配分にも変更が生じ、新たな総議席数(705)に対する各会派の比率は次のとおりとなった。
- 中道右派「欧州人民党(EPP)グループ」:187議席(5議席増)→26.6%
- 中道左派「社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループ」:148議席(6議席減)→21.0%
- 穏健リベラル会派「リニュー・ヨーロッパ(RE)」:97議席(11議席減)→13.8%
- 環境政党系会派「欧州緑の党・欧州自由同盟(GREENS/EFA)グループ」:67議席(7議席減)→9.5%
- 極右派「アイデンティティーと民主主義(ID)」:76議席(3議席増)→10.8%
- 保守系会派「欧州保守改革(ECR)グループ」:62議席(4議席減)→8.8%
- 左翼系「欧州統一左派・北欧緑左派連盟(GUE/NGL)」:40議席(変更なし)→5.7%
- 無所属:27議席(26議席減)→3.8%
「S&Dグループ」(英国・労働党系議員が所属)や「RE」(英国・自由民主党系議員が所属)、「GREENS/EFAグループ」(英国・緑の党系議員が所属)、「ECRグループ」(英国・保守党系議員が所属)や、無所属(主要会派に属さないブレグジット党)など、英国選出議員が所属していた会派の議席が減る結果となった。ただし、同議会の中核を担う中道2会派合計の比率は47.6%と依然として過半数は形成できないものの、英国離脱前の比率(44.8%)から若干拡大した。これに、これまでのところ、欧州委のフォン・デア・ライエン委員長の政権運営に協力的な穏健リベラル会派「RE」の議席を加えると、総議席の6割を超えることになる。
(前田篤穂)
(EU、英国)
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