2019年第4四半期のタイGDP成長率は1.6%、前期の2.6%から減速

(タイ)

バンコク発

2020年02月25日

タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)が2月17日に公表した2019年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前年同期比1.6%と、前期の2.6%から減速した。四半期ベースの成長率が1%台となったのは、2014年第3四半期(7~9月)以来。また、2019年通年の成長率は2.4%と、前年の4.1%から減速し、5年ぶりの低水準となった。

2019年第4四半期の実質GDP成長率の需要項目別内訳をみると、輸出が前年同期比3.6%減(前期:0.6%増)となった一方、輸入も8.3%減(5.9%減)と前期からマイナス幅が拡大したことから、純輸出はプラスに転じた。輸出は全ての産業分野で減少となった。コメやその他主要農産品であるタピオカ製品、天然ゴムは通貨バーツ高の影響で価格が高騰し輸出量が減少した。

一方、内需は前期に引き続き堅調だった。個人消費は前年同期比4.1%増(4.3%増)となった。低水準のインフレ率や商業銀行系ローンの拡大、国内観光や国内消費を奨励する政府の経済刺激策が主な成長要因だ。また、総固定資本形成は0.9%増(2.7%増)となった。民間部門の投資支出は、産業用プラントなどの建設が寄与し、2.6%増(2.3%増)と前期から拡大した。他方、政府部門の投資は5.1%減(3.7%増)と前期から大幅に減速した。2020年度(2019年10月~2020年9月期)の予算執行の遅れが要因だ。

NESDCは2019年の実質GDP成長率が5年ぶりの低水準となった主な減速要因として、米中貿易摩擦による世界経済の減速、バーツ高による輸出の低迷、これまで好調だった個人消費にも減速感がやや強まったことなどを挙げている。

また、NESDCは2020年の経済成長の予測を2.7%~3.7%から1.5~2.5%に引き下げた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を織り込み、これまでの予想を大幅に引き下げたかたちだ。

タイ政府観光局は、現時点で外国人旅行者が年間500万人程度減少すると予想している。観光収入の損失額は5,000億バーツ(約1兆8,000億円、1バーツ=約3.6円)に達するとの試算もある(「バンコク・ポスト」紙2月17日)。

(岡本泰)

(タイ)

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