インド政府が2020年度予算案発表、生活のしやすさ、農業、インフラなど重点

(インド)

ニューデリー発

2020年02月13日

インドのニルマラ・シタラマン財務相は2月1日、2020年度(2020年4月~2021年3月)の国家予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2020年度の歳出総額は、2019年度(改定値)比で12.7%増の30兆4,223億ルピー(約45兆6,334億5,000万円、1ルピー=約1.5円)。歳入の中心となる税収は、8.7%増の16兆3,590億9,000万ルピーを見込む。予算上の単年度財政赤字は7兆9,633億7,000万ルピーで、GDP比3.5%となる。

2020年度予算案は「Ease of Living(生活のしやすさ)」が主題となっており、実現のための3つの柱として「Aspirational India(上昇志向のインド)」「Economic  Development(経済開発)」「Caring Society(思いやりのある社会)」が掲げられた。このスローガンの下、政府は農業やインフラ開発、教育などの分野に重点を置いた。分野別の歳出は表1のとおり。農業分野は前年度比28.1%増の約1兆5,000億ルピー、都市部開発には18.4%増の約5,000億ルピーの予算がついた。最も増加幅が大きかったのはIT・通信関連分野で、前年度比3.7倍の約5,900億ルピーの支出を充てており、インドが強みを持つ同分野のさらなる強化が見込まれる。

表1 2020年度予算案の分野別歳出(2019年度改定値から増減率の高い順)

税制面では、海外からの投資を加速させるため、これまでインドで配当を支払う際に課せられていた配当分配税の廃止などを発表した(表2参照)。また、低・中所得者の個人所得税の軽減を提案し、消費の拡大が期待される(表3参照)。一方で、靴類や家具、電気自動車、携帯電話部品などの基本関税の引き上げや、医療機器輸入に際して5%の健康税(ヘルスセス)が課されることなども発表された。

表2 2020年度予算案の主なポイント
表3 個人所得税の変更

予算案は今後、国会などでの審議を経て、2020年3月末ごろに正式に成立する見込みだ。

(磯崎静香)

(インド)

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