新型コロナウイルス、ペルーの感染者はゼロも経済への影響を懸念

(ペルー)

リマ発

2020年02月19日

ペルー保健省(MINSA)は2月13日現在、国内における新型コロナウイルスの感染者はいないと発表した。また、全ての空港、港湾、バスターミナルなどにおいて、感染の疑いのある旅客がいた場合の対応策を整えており、その上で国家保健研究所(INS)においても既にRT-PCR法での検査法を導入し、検査体制も整えているという。またMINSAウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上では、新型コロナウイルスの概要、感染者発生国(日本を含む)、症状や予防方法などを動画なども含めて紹介しており、感染の拡大に備えている。

経済面では、中国を中心とした国外での感染の拡大による経済への影響を懸念する声も少なくない。ペルー中央準備銀行(BCR)は、新型コロナウイルスの影響で1月の銅の国際価格は1ポンド2.5ドルに下落し、為替もソル安に転じていると発表している。また、中国はペルーにとって最大の貿易相手国(輸出入とも1位)であるため、銅や魚粉などの主要伝統輸出品のほか、近年拡大してきた農産物や海産物の輸出への影響もささやかれている(表参照)。ペルー産業組合(SNI)のカルロス・ミラノビッチ・ニエト農水産委員長は、「ヘスティオン」紙の取材に対して、中国の多くの港が検疫封鎖されたため、ペルーなどからの農産物のコンテナに影響が出ているという(「ヘスティオン」紙2月13日)。ジェトロの取材に対して、ペルー貿易観光促進庁(PROMPERU)は、一部の養殖関係者から、中国での感染拡大による中国向けの物流の停滞や消費の減少を懸念する声が出ている、と答えた。

また、観光資源の多いペルーにとっては、観光客の減少も悩みの種だ。全国観光商工会議所(CANATUR)によれば、例年第1四半期(1~3月)は中国からの観光客が最も多く訪れる季節だが、2020年は2~3月に予定されていた予約のうち既に5,000件がキャンセルされたという。同会議所によれば、中国からの観光客は平均して毎月5,000人で、1人当たりの週間支出額は約1,200ドルに上るという。それが、今回のキャンセルにより2月は2,000人、3月は3,000人に減少するため、約600万ドルの損失になる見込みという。

表 ペルーの対中国主要輸出品統計(2018~2019年)

(設楽隆裕)

(ペルー)

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