アフリカテックサミット・キガリ開催、2019年アフリカのスタートアップ調達額は過去最大に

(ルワンダ、アフリカ)

ナイロビ発

2020年02月21日

ルワンダの首都キガリで2月4~6日、「アフリカテックサミット・キガリ2020」が開催された。主催者のアフリカテックサミットによると、アフリカ内外からエコシステム関係者600人が参加した。サミットはアフリカへの投資拡大のため、アフリカ・エコシステム関係者のネットワーキングの場として2015年に創設された。

2018年からアフリカと英国で年2回のペースで開催され、5回目となる今回は「フューチャーサミット」「マネー&ブロックチェーンサミット」「アフリカ・スタートアップ・サミット」の3部構成だった。4日にはキガリ・エコシステム・ツアーが組成され、参加者はルワンダを代表するドローン企業のジップライン(Zipline)などを訪れた。5、6日には、欧米やアフリカのスタートアップやベンチャーキャピタル、エンジェル投資家、テック企業など、アフリカ・エコシステムのキーパーソンがスピーチやパネルディスカッションを繰り広げた。また同日、ドローンフォーラムも併催された。

写真 アフリカテックサミット・キガリ2020の様子(ジェトロ撮影)

アフリカテックサミット・キガリ2020の様子(ジェトロ撮影)

「マネー&ブロックチェーンサミット」では、2019年にシリーズA、B調達を立て続けに実施して話題を呼んだナイジェリアのフィンテックOpayのセウン・アレイ・パートナーシップダイレクターや、ケニアを中心にインフォーマルセクターの小売業者などに流通ソリューションを提供するSokowatchのサラ・オン財務グローバルヘッドなど有識者がフィンテックの将来について意見を交わした。WeeTrackerが発表した「African Venture Capital Report 2019」によると、アフリカを拠点とするスタートアップの資金調達額は2019年に、前年の約3.8倍に当たる13億4万ドルに達した。その約50.7%に当たる6億7,873万ドルを調達したのがフィンテックだ。

「フューチャーサミット」では、アフリカ市場での人工知能(AI)の活用、暗号資産(仮想通貨)の傾向などが語られた。

「アフリカ・スタートアップ・サミット」では、欧米とアフリカを拠点とする有力ベンチャーキャピタル(VC)のTLCom、Enza Capital、4D Capitalなどがアフリカ・スタートアップの将来性と課題を議論した。アフリカ・スタートアップはナイジェリアやケニア、南アフリカ共和国を中心に成長しているものの、調達額は世界全体の1%にすぎず、国際的なスタートアップの勃興には遅れをとっている状況だ。上場やエグジットなど成功モデルの形成もいまだ事例が少ない。

パネルディスカッションでは、アフリカ・エコシステムの課題について議論が交わされた。物流や金融といったインフラの整備が遅れ、消費者の購買力も低く、未成熟な市場だ。テックの力で社会課題を解決していく「リープフロッグ」に商機があるとはいえ、市場開拓は容易ではない。現場をよく知る地元アクセラレーターによるプログラムの実施や、現地資本の参入などが案件発掘のカギとなるものの、実際のプレーヤーは欧米資本であることが多い。その結果、案件発掘およびシード投資とシリーズ投資の間にギャップが生じていることが指摘された。現地のアクセラレーション機能を強化していくことや、順調なフィンテックや物流、ヘルステックの成長をテコに、現地資本を喚起していくことなどが話し合われた。

6回目となるアフリカテックサミットは、5月22日からロンドンで開催する予定だ。

写真 会場ではルワンダのライドシェア「Yego」の3輪バイクを試乗できた(ジェトロ撮影)

会場ではルワンダのライドシェア「Yego」の3輪バイクを試乗できた(ジェトロ撮影)

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(久保唯香)

(ルワンダ、アフリカ)

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