2019年のGDP成長率は2.71%、投資が主導

(台湾)

中国北アジア課

2020年02月28日

台湾行政院主計総処(以下、主計総処)は2月12日、2019年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前年同期比3.31%、2019年通年の実質GDP成長率を前年比2.71%と発表した(図1、図2参照)。

図1  台湾の実質GDP成長率の推移(年別)
図2  台湾の実質GDP成長率の推移(四半期別)

内需が持ち直し、外需はマイナスへ

第4四半期の成長率を需要項目別寄与度でみると、内需は3.90ポイントと、前期の1.63ポイントから倍増した(表参照)。主計総処によると、新車や電動バイクの販売増、百貨店の販売促進により、民間消費は前年同期比2.63%増、寄与度も1.30ポイントとなった。

固定資本形成は、半導体メーカーによる設備投資の大幅な増加、建設プロジェクトや輸送機器に対する投資の安定的な成長により、前年同期比14.97%増、寄与度は3.19ポイントだった。

表 GDP成長率への需要項目別寄与度

外需の寄与度はマイナス0.60ポイントで、前期(1.40ポイント)から、マイナスに転じた。このうち、輸出1.78ポイント(前期:0.00ポイント)、輸入は2.38ポイント(マイナス1.40ポイント)だった。主計総処は外需の特徴について、情報通信機器や電子部品はメーカーによる持続的な域内生産能力の拡張や第5世代移動通信システム(5G)など新興技術ブームの恩恵を受ける一方で、化学工業品、鉱産物やプラスチック、ゴムについては原材料の需要低迷などによる影響を受けていると説明した。

2020年通年予測を2.37%に下方修正

主計総処は2020年通年の成長率を、2019年11月発表の2.72%から2.37%へ0.35ポイント下方修正した。主計総処は、域内で優位性のある先進的な半導体製造能力が引き続き開発され、グローバルサプライチェーンの再構築の動きが継続し、台湾企業の台湾回帰による生産拡大が輸出にプラスに寄与していることに加え、5Gモバイル通信、高速コンピューティング、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)など新興技術が持続的に発展していることから、輸出の勢いを高めると見込んでいる。ただし、新型コロナウイルスの発生により、中国で都市の封鎖や操業再開の延期などの措置が取られているほか、各国がさまざまな新型コロナウイルス防疫対策を講じており、こうした高度な不確実性は生産、消費、貿易など正常な経済活動への影響を及ぼし、世界的な経済パフォーマンスを引き下げ、対外貿易の拡大に影響を及ぼすとした。

(嶋亜弥子)

(台湾)

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