物流企業の稼働率は5割未満が7割近く
(中国)
広州発
2020年02月27日
新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大する中国では、春節休暇後も感染防止のため移動制限や隔離措置が続いており、こうした措置を受けた物流の停滞がサプライチェーンに大きな影響を与えている。
操業再開は6割を超えるも、稼働率は5割未満にとどまる企業が多数
国家発展改革委員会、中国物流情報センターは、全国各地の物流関連部門や業界団体と連携して、物流企業に対し2月12~21日にアンケート調査を行い、2,283社から回答を得た。
アンケートの結果からは、物流業の操業再開の動きは加速しているものの、需要不足や社内感染による操業停止リスクへの懸念から、稼働率と従業員の職場復帰率は依然として低い水準が続いていることが分かった。
操業再開率は、調査期間1週目(2月12~16日)の49.2%から、2週目(2月17~21日)には62.2%に上昇したが、稼働率は50%未満の企業が7割近くに上る(表1参照)。経営コストの上昇圧力が高まっている一方で、需要の回復が緩慢であり、従業員も隔離措置などを受け職場復帰が難しいことなどが要因とみられる。
機械・電子産業での物流への影響が最大
業種別に物流停滞の影響度をみると、「大きな影響を受けている」(「影響が深刻」「影響がとても大きい」「影響が比較的大きい」の合計)と回答したのは、機械・電子産業が91.6%と最も多く、次いで食品・飲料・日用品など消費財が89.3%、アパレル、農産品卸売り、建築材、自動車・同部品でも8割を超えた(表2参照)。防疫関連物資などを除き、多くの製造業の物流は依然として停滞している。アンケート調査において、機械・電子や自動車関連製品を扱う物流企業に対しヒアリングしたところ、特に川上の中小企業で操業再開が遅れる傾向が強く、原材料や部品の供給が停止する状況に直面しているという。
物流企業における従業員の職場復帰率は、「50%未満」との回答が調査期間1週目には67.5%、2週目にも69.1%を占め、復帰が遅れている状況が明らかとなった(表3参照)。物流業は、労働集約型の産業で、従業員の復帰状況が稼働率に直結する。他方で、社内で感染者が発生すれば、即刻、業務停止に追い込まれる恐れもあり、従業員の職場復帰に慎重な姿勢を示す企業もみられる。
同アンケート調査によると、物流企業が政府に望む支援策としては、(1)防疫に対する指導と従業員の生活環境の整備支援、(2)防疫物資の確保、医療、社会保障など関連政策の拡充、(3)需要に応じた物流サービスの提供・拡充に向けたビッグデータシステムの確立、(4)感染症をカバーする特殊商業保険の開発、などが挙げられた。
(盧真)
(中国)
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