欧州委、新たな将来関係に関わる対英協議開始をEU理事会に勧告

(EU、英国)

ブリュッセル発

2020年02月04日

英国のEU離脱(ブレグジット)に伴い、欧州委員会は2月3日、EU理事会に対して、英国との通商協定を含む、新たなパートナーシップ関係構築のための協議開始の決定を求める勧告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を行った。この勧告には、欧州委がEUを代表して英国政府との交渉を進める権限付託(マンデート)指令(2019年12月19日記事参照)や、交渉の対象範囲と条件などを定める作業についての包括的提案が含まれる。

移行期間中に合意できなければ、対英貿易はWTOベースに

欧州委によると、英国との交渉対象としては「通商・経済協力」「法執行や刑事事件における司法協力」「外交・安全保障政策および防衛」「各種EUプログラムへの参画」などの分野が想定されているという。

欧州委のミシェル・バルニエ首席交渉官は「われわれは誠意をもって交渉に臨む。欧州委は欧州議会・EU理事会とも緊密に連携を取って、作業を進める。英国の決定を尊重する解決策を模索しつつも、EUおよびその市民の利益を守り、高めることがわれわれの使命となる」とコメントしている。

なお、欧州議会も同日、EU・英国の将来関係について声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、今後の交渉対象について「関税、商品規格・基準、公平な競争条件、紛争解決手段などを含む、将来の通商関係に関わる諸条件や原則が主要課題の1つになる」との認識を示した。また、移行期間中の英国の立場について、欧州議会は「英国はEU単一市場へのアクセスは認められ、EU法に従うことになるが、新たなEU法の制定には関与できない」「EU予算への財政的貢献も継続することになるが、予算編成に対する発言権は認められない」としている。他方、移行期間終了までに、EU・英国の間で将来関係についての合意が形成できない場合、「英国はWTOルールの下でEUと貿易取引を行うことになる」と指摘した。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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