重慶市で企業の操業再開に遅れ、リスクを3地域に分け対応策

(中国)

成都発

2020年02月25日

中国重慶市では、長安フォードが2月10日から再稼働し、重慶市両江新区の発表によると、同新区内の一定規模以上の自動車完成車メーカーと関連サプライヤー154社のうち、2月18日までに83社が操業再開したという。一方で、重慶市に進出する多くの日系企業は操業再開の遅れを指摘している。再開が認められた企業でも多くは一部操業にとどまっており、出勤できている従業員も平常時の半分から3分の1以下といった企業が多い。再開した日系企業からは「市外から戻ってきた従業員が14日間の自宅待機を求められている」「14日間の自宅待機を終えた従業員の追加出勤申請を当局に出しても、許可が得られない」といった声や、企業によっては、従業員の通勤時の公共交通機関利用が制限され、自家用車やバイク、徒歩による通勤のみ認めるといった条件が付されるなど、再開後の活動に支障を来している事例も多く聞かれる。

また、中国外から重慶市に帰着する外国人は、14日間の自宅待機は不要とされながらも、この措置は外国から直行便で帰着した場合に適用され、中国国内の空港で乗り換えて戻った場合には自宅待機が必要とされている。これから重慶市に帰着する日本人駐在員は留意が必要だ(注)。

企業の再開承認に関する運用は地域ごとに異なり、同じ地域でも企業によって当局の方針にばらつきがあり、混乱している。こうした中、重慶市政府は2月19日、「重慶市における新型コロナウイルス肺炎に対する各エリア・各分野の感染予防抑止方案〔渝肺炎組発(2020)6号〕外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表。感染者数を基に同市全域を低リスク地域、中リスク地域、高リスク地域に分けて、それぞれの地域に異なる感染予防対策や操業再開支援策を実行するとした。

低リスク地域(南川区、城口県など6区県)では、積極的に生産・経営活動と市民生活の正常化を推進する。居住区域での封鎖式管理や各種市場の閉鎖、企業の操業再開や労働者の職場の制限をいずれも実施しない、事前の申請・承認制度を停止するなど、企業の全面的操業再開を支援するとした。中リスク地域(両江新区、重慶経済開発区など26区県)では、生活物資の供給や交通運行を強化する、秩序ある操業再開に向けて綿密に組織し、労働者が職場に戻ることを推進するとした。高リスク地域〔市内主要9区(両江新区、重慶高新区、重慶経済開発区を除く)、万州区〕は引き続き厳しい管理を行う。

日系企業が多く集まるのは、市内主要9区の高リスク地域と、両江新区などの中リスク地域となっている。中リスク地域は秩序ある操業再開の推進が方針として明確になったものの、高リスク地域での経済活動の本格的な再開には依然として時間を要するとみられる。

(注)その後、外国人の入境に対する制限が強化される傾向がみられる。在重慶日本総領事館は、外国人の帰着者には一律14日の自宅隔離観察が求められたり、一部の区では外国人の家族構成や居住環境によっては隔離措置の強度(自宅隔離観察か指定施設での集中隔離)が変更されるケースがあると注意を呼び掛けている(2月29日時点)。重慶市への渡航前には、在重慶日本総領事館のウェブサイトや宿泊先、居住区の管理当局から、必ず最新情報を入手されることを勧める。

(王植一)

(中国)

ビジネス短信 92c4739011175999