ロシア極東等農林水産業プラットフォーム会合でロシアの農林水産企業がプレゼンテーション

(ロシア、日本)

欧州ロシアCIS課

2020年02月06日

農林水産省は1月29日、第11回ロシア極東等農林水産業プラットフォーム会合を東京都内で開催した。本プラットフォームは、ロシア極東地域などの農林水産関連ビジネスに関心のある日本企業・団体を支援するために、2017年2月に設置されたもの。日本企業、関係機関・団体、政府機関で構成されており、定期会合や官民ミッションなどを通じて、日ロビジネス関連情報の共有や機会づくりに取り組んでいる。

今回の会合の冒頭で、大澤誠農林水産審議官は、農林水産省はロシア農業省と継続的に対話を実施していると説明。「本プラットフォームを通じて、日本企業がロシアに投資し、日ロ双方の農林水産業の発展につながることを期待している」と述べた。農林水産省大臣官房海外投資・協力グループの菊池茂史課長補佐は1月16日に、ロシア農業省と締結した「ロシア極東の農業および水産業の生産性向上に係る日ロ共同プロジェクト」について説明。日ロ双方の企業が関心を持つ3つの分野(a.大豆やトウモロコシ、小麦、畜産物の生産性向上と輸出力拡大、b.野菜温室の増加による野菜生産の増進、c.魚製品および海洋食品の生産とロシア国内外への供給増加)を重点分野として定め、日本企業の技術・ノウハウを活用して、ロシア極東の生産性向上を支援していくと述べた。

在日ロシア連邦通商代表部のピョートル・パブレンコ首席代表は、ロシア産の農産品の日本への輸出が近年、拡大傾向にあり、2016年以降、ロシア産の牛肉や鶏肉が熱処理された上で、日本へ輸出可能となるなど、非関税障壁の緩和も進んでいる、と指摘した。沿海地方水産協会のゲオルギー・マルティノフ理事長は、現在、日ロ共同でのサンマの漁獲と洋上水産加工プロジェクトが進展をみせているとした。日本の漁船が釣った魚を、沿海地方の大手水産事業者ドブロフロートが有する船舶で洋上加工するもので、ここ4年間の日ロ共同プロジェクトの中で最も成功している案件の1つと評した。他方、昨今、北太平洋や日本海海域では水産資源の枯渇が深刻になって起きており、特にスルメイカの不漁が著しいと指摘。北朝鮮による乱獲の可能性が高く、密漁対策や水産資源の保存は、国だけでなく、民間レベルでも進めていく必要があると強調した。

企業プレゼンテーションのセッションでは、北海道総合商事が、ロシア極東における大豆生産拡大に向けた土壌改良プロジェクトについて発表。同社食糧部長の諌山直幸氏は、圃場(ほじょう)単位当たりの収穫量が少ない状況を改善するため、農林水産省の補助金事業を通じて2年間、土壌改良に取り組んだ結果、大豆の収穫高が10%増加したと述べた。

そのほか、ウラジオストク海洋漁業港やホクロス、インプロム、アグロハブ(アムールゼルノ)、グリーンイースト、JPPVが、自社の紹介と日本企業へのリクエストについて講演を行った(各社の詳細は添付資料参照)。本会合終了後には、商談会が行われた。

写真 自社のプレゼンテーションを行うロシア極東の企業(ジェトロ撮影)

自社のプレゼンテーションを行うロシア極東の企業(ジェトロ撮影)

(齋藤寛)

(ロシア、日本)

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