2019年の貿易赤字は前年比43.5%減、輸入の低迷が影響

(トルコ)

イスタンブール発

2020年02月12日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(1月31日付、暫定値)によると、2019年の輸出は前年比2.1%増の1,715億3,068万ドル、輸入は9.1%減の2,027億451万ドルとなり、貿易赤字は43.5%減の311億7,384万ドルとなった。

2019年の輸出を品目別にみると、鉄鋼が米中貿易戦争の長期化の影響で、需要が低迷したことなどから、前年比13.9%減となった(表1参照)。また、最大の輸出品目である自動車・同部品も同様に全体の約7割を占めるEU向けが弱く、前年の水準を下回った。他方、鉱物性燃料は65.8%増と急増し、一般機械も好調だった。このほかでは、家具(11.5%増)、じゅうたん(11.8%増)などの伸び率が高かった。

表1 トルコの主要品目別輸出

輸出を国・地域別にみると、全体の48.5%を占めるEU向けが前年比0.9%減で、ドイツや英国、イタリアといった主要国向けが前年水準を下回った(表2参照)。他方、オランダ向けは好調で、イラクやイスラエル向けも増加している。

表2 トルコの主要国・地域別輸出

輸入を品目別にみると、最大の輸入品目である鉱物性燃料をはじめ主要品目のほぼ全てが、通貨リラの減価および内需減退の影響を受け前年の水準を下回った(表3参照)。他方、下半期に高まった金需要の回復もあり貴金属類は6.0%増、また医薬品が9.2%増と伸びている。国・地域別では、全体の34.2%を占めるEUからが14.2%減と冷え込んでいるほか、全体的にマイナス傾向がみられる(表4参照)。

表3 トルコの主要品目別輸入
表4 トルコの主要国・地域別輸入

ルフサル・ペクジャン貿易相は、2019年の貿易はトルコの成長に過去18年間で最大の貢献をしたと述べ、貿易赤字が半分近く縮小したことを称賛した。しかし、内需がわずかながらも回復傾向をみせていることから、輸入が8月以降は前年同月比でプラスに転じており、12月が14.9%増となるなど、2020年には貿易収支の赤字が拡大することも予想されている。

(中島敏博)

(トルコ)

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