韓国政府、新型コロナウイルス感染症対策で対中輸出企業に貿易金融などを支援

(韓国)

ソウル発

2020年02月12日

韓国の産業通商資源部は、2月3日に「輸出状況点検会議」を開催、新型コロナウイルス感染症の拡散が及ぼす韓国の輸出入への影響を点検し、支援機関別対応案について議論した。

同部は新型コロナウイルス感染症が及ぼす韓国の輸出入への影響について、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の在中国事務所や業種別団体などを通じ、中国進出韓国企業の動向を調査した結果、現時点では大きな被害は発生していないとした。しかし中長期にみると、韓国の対中輸出の95%を占める中間財や資本財を中心に中国の消費・投資の萎縮、生産の減少などを受け、輸出減少が懸念されるとした。

これを受け、同部では「新型コロナウイルス産業・貿易非常対応タスクフォース(T/F)」を組織し、官民合同で非常時の対応に乗り出している。T/Fにおいて中国進出韓国企業、対中輸出企業、素材・部品・装置企業など類型別に対応し、韓国企業の被害を最小化する計画だ。

具体策として、中国進出韓国企業については、KOTRAの在中国事務所(22カ所)と商務官を中心に物流や通関、人材の供給などを密着支援する。また、対中輸出企業に対しては、韓国貿易協会の「輸出隘路解消支援センター」を通じ、輸出における問題点を解消する計画だ。さらに、素材・部品・装置企業に対しては、「素材・部品供給対応支援センター」で原・副資材の供給、生産支障などの問題点を受け付け、省庁横断の協業と迅速な支援システムを稼動し、供給問題や生産支障を最大限防止する予定だと表明した。

なお、短期流動性支援として4,000億ウォン(約368億円、1ウォン=約0.092円)規模の貿易金融の支援を通じ、金融機関とともに企業の資金繰り問題を緊急かつ先制的に解消する予定であることを発表した。短期輸出保険の保険料の割引(30~35%)、保険金支給までの期間の短縮(2カ月→1カ月)など、企業が体感できる支援策も新たに施行し、輸出のプラス転換に向けて、輸出企業に対する貿易金融の支援を2019年から22兆ウォン以上増やした257兆ウォンを供給する予定で、特に、2020年は8,500億ウォン規模のプロジェクト受注支援プログラムを新設・拡大し、プラント、防衛産業物資などの大型プロジェクトを通じて韓国輸出の新しい突破口を開いていくとした。

併せて、現地の状況と輸出マーケティングの日程も綿密に検討し、2020年第1四半期中に中国で開催予定の展示会や貿易ミッションなどは、日程変更、テレビ商談会での代替などで調整する。一方、対中輸出の割合が高い企業に対して、輸出支援事業で優先的に支援し、ASEANなど「新南方」への新しい輸出市場の開拓を支援する。また、対外リスクによって韓国の貿易が揺らぐことがないよう、品目、市場など輸出構造の革新も並行することを明らかにした。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国)

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