内燃車販売禁止を2035年に前倒し
(英国)
ロンドン発
2020年02月06日
ボリス・ジョンソン英国首相は2月4日、議長国を務める国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の関連イベントで、COP26が「英国と世界にとって気候変動への対策を強化する重要な機会になる」と述べ、英国が掲げる2050年までの温室効果ガス(GHG)の純排出ゼロ目標のように、各国も純排出ゼロに向けた目標を掲げるよう呼び掛けた。
イベントでは、英国政府がガソリン車・ディーゼル車の新車販売禁止を2035年に早めることも発表された。政府は2017年8月にガソリン車・ディーゼル車の新車販売を2040年までに禁止する方針(2017年8月7日記事参照)を発表しているが、これを5年前倒しし、可能ならさらに時期を早めるとしている。禁止対象にハイブリッド車を含めることも初めて発表した。今後、政府方針に対する意見公募が行われることになる。
英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズ会長はこの発表に懸念を示した。ホーズ会長は「自動車メーカーは約60車種のプラグイン車を既に市場に投入し、2020年にはさらに34車種を投入予定(2020年1月9日記事参照)であるなど、将来のゼロ排出化に向けた最大限の投資を行っている」としつつ、「一方で、(プラグイン車などの)価格は今も高価で、販売台数のわずかな割合を占めているにすぎず、目標の前倒しは企業の投資ではどうにもならない課題を突き付けることになることは明らかだ」としている。
英国では、一定の条件(注)を満たす乗用車などに購入補助金が設けられているが、電動車の販売シェアが増加していることを背景に、2018年10月には環境性能の高い自動車に補助対象を絞るなど、国民負担の増加を避ける方向性にシフトしつつある。政府は2020年以降も補助金を継続するものの、長期的な補助金は国民負担の観点から維持できないという立場を取っており、補助金の終了も見据えている。また、補助金の継続については、次年度となる2020年4月以降の継続は明言しておらず、ホーズ会長は補助金があと60日も満たないうちに終わる可能性もある現状を指摘し、「電気自動車(EV)の普及に大きな役割を果たす補助金の継続に関して明確な方向性が示されておらず、加えて、国内の充電設備も不十分だ」として、政府方針の現実性に疑問を呈している。
(注)二酸化炭素(CO2)排出が走行1キロ当たり50グラム未満、かつ70マイル(約112キロ)以上のゼロ排出走行が可能な自動車。
(木下裕之)
(英国)
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