国家発展改革委員会、新型コロナウイルス感染防止で操業再開の事前審査・承認制度は停止すべきとの見解を明確に
(中国)
中国北アジア課
2020年02月12日
中国では、新型コロナウイルスによる肺炎(以下、新型肺炎)の感染がまん延する中、多くの地域で2月10日から企業の操業再開時期を迎えたが、地域によっては操業再開の条件として、現地政府などへの申請書提出や事前承認が求められるケースがみられる(2020年2月7日記事参照)。現地進出の日系企業においても、こうした措置への対応が操業開始の遅れの一因となっている。
国家発展改革委員会社会発展司の欧曉理司長は、国務院が2月11日に開いた会見において、こうした措置は不適切で停止すべきとの見解を明確に示した。
欧司長は、各地方で実施されている人の動きを制限する各種措置に対する評価に関する記者からの質問に答えるかたちで、「多くの地域で厳格な措置が実施されていることを認識している。地域によっては、企業の生産・操業再開に対し報告・届出制度や申請に基づく事前承認条件を設定しており、ひいては、期日前に再開した企業の責任者を拘束するケースまでみられる。こうした手法は、科学に基づく感染予防・抑止および秩序ある企業の生産・操業再開を目指す中央の精神に合致せず、われわれはこうした安易で粗暴な方法により、生産・操業の再開を制限することを、厳格に止めさせるということを明確にお伝えしておきたい。各地域においては、企業が直面している問題の解決に向けて寄り添い、指導し、助力してもらいたい。これまでに一部地域で発生しているこうした問題については、われわれは既にさまざまな方法により、各地域に対して不適当な方法を改めるよう求めている」と述べた。
同会見では、国家発展改革委員会のほか、人力資源・社会保障部や交通運輸部、国家衛生健康委員会の各関係部門の責任者が、科学に基づく感染予防・抑止および企業の秩序ある生産・操業再開に関する取り組み状況について説明した。
防疫物資の生産再開状況については、2月10日時点の全国22の重点地域において、マスクの生産企業の再開率は76%超、防護服企業は77%、重点的に観測している食糧生産・加工企業では94.6%、炭鉱企業は57.8%に達していると紹介したほか、電力・天然ガス・石油製品などの供給は充足しており、航空・鉄道・水運の運輸ネットワークも正常に運営されていると強調した。他方で、企業の生産・操業再開に当たっては、人員不足のほか、一部地域では建設作業再開の制限を受けているほか、マスクなどの防疫物資の深刻な不足、サプライチェーンや交通・物流の乱れ、資金不足の圧力増大などの問題に直面していることも認識しているとした。
これら問題の改善に向けては、2月8日に「科学に基づく感染予防・抑止および企業の秩序ある生産・操業再開に関する取り組みの強化に関する通知」を発表し、今後は国家発展改革委員会が関連部門と連携しつつ、地域によって異なる感染状況に応じ、科学に基づく感染予防・抑止に向けた取り組みを継続するとともに、企業が直面する問題の解決に向けた調整に当たり、秩序ある生産・操業の再開および早期の正常化を図るとした。
操業再開後の感染者発生の場合、早期の発見・隔離措置により工場閉鎖の必要なしとの見解
このほか、生産・操業再開後に、企業・工業内で感染者が出た場合の閉鎖措置について記者から質問を受けると、国家衛生健康管理委員会疾病予防控制局の賀青華副局長は「まずは感染者に対して行動歴や濃厚接触者を確認するとともに、所属する企業のほかの従業員に対しても、当該感染者との接触歴などを確認し、濃厚接触者の隔離観察を行う。感染者の早期発見ができず、企業内で感染拡大が確認された場合には、当該企業に対して一定の措置を取る必要があるだろう。比較的早期発見に至った場合には、濃厚接触者に対する厳格な医学観察措置が取られれば、当該企業を閉鎖する必要はない」との見解を示した。
(小林伶)
(中国)
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