低リスクながらも新型コロナウイルス対策を実施

(モザンビーク)

マプト発

2020年02月28日

中国での新型コロナウイルスの発生後、モザンビーク政府は1月22日、中国からの渡航者に対する入国時のスクリーニング検査を開始した。31日には保健省と外務協力省、内務省の代表者からなる省庁横断チームを設立し、感染拡大予防と渡航者への発症の有無の確認態勢を強化すると発表した。同日に在モザンビーク日本大使館が発出した領事情報によると、中国に限らず全てのモザンビークへの渡航者は国際空港到着時に体温測定を実施するほか、日本や中国を含む14カ国・地域からの渡航者に関しては空港内で問診の対象となり、入国後2週間以内に数回、検疫官が発症の有無を確認するために渡航者へ連絡するという水際対策を取っている。

保健省のローザ・マレーネ公衆衛生局長は2月24日の記者会見で、新型コロナウイルスの発生以降、中国からの483人を含む約11万人がモザンビークに入国し、そのうち215人に対し当局の勧告に基づく自主的な自宅隔離措置を実施しているが、国内での感染者は確認されていないと報告した。また、感染拡大を引き起こす可能性のあるモザンビークへの外国人渡航者の流入は、隣国の南アフリカ共和国などと比べると少なく、世界保健機関(WHO)と同省ともに、モザンビークは低リスク国とみていると述べた。さらに、感染が確認された場合でも1日に500検体分の新型コロナウイルス検査を実施する用意があり、WHOから発生時の支援約束も取り付けているという。加えて、35人の医療スタッフが検体の採取や保管、移送に関する特別な訓練を受けており、地方部で感染が疑われるケースが発生した場合でも対応ができるよう備えているとも述べた(「クラブ・オブ・モザンビーク」2月25日)。

これまでのところ、国内経済への直接的な影響はみられない。一方、国内で新型コロナウイルスが確認されたというフェイクニュースがSNS上で拡散し、2月19日に公立マプト中央病院が否定声明を出したが、市民の間では不安が広がっているとみられる。

(松永篤)

(モザンビーク)

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