カナダの新車生産台数、2019年は3年連続で減少

(カナダ)

トロント発

2020年02月13日

調査会社デロジエ・オートモーティブ・コンサルタントが1月31日に発表した統計によると、カナダの2019年の新車(乗用車および小型トラック)生産台数は、前年比4.9%減の194万6,074台で、3年連続の減少となった(表参照)。セグメント別では、乗用車の生産台数が28.9%減少した一方、小型トラックは7.1%増加し、総生産台数に占める小型トラックのシェアは前年の67%から75%に拡大した。

表 メーカー別の自動車生産台数

メーカー別にみると、生産台数首位のフィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)は、小型トラックの「ドッジ・キャラバン」や「クライスラー・パシフィカ」の生産が落ち、前年比4.8%減となった。同社は2019年3月に、オンタリオ州ウィンザーの組み立て工場における約1,500人の人員削減計画を発表(2019年4月5日記事参照)したが、11月には2020年第1四半期(1~3月)までの雇用延長を決めた。その後、12月にプジョーを傘下に持つPSAとの合併を発表し、現状では生産体制に変更を加えないとしているが(「フィナンシャル・ポスト」紙2019年12月18日)、先行きは不透明だ。

前年からの2位を維持したトヨタは、小型トラックの「RAV4」の生産が前年比67.1%増の35万3,374台だった一方、乗用車の「カローラ」の生産を米国へ移管したことから、総生産台数は5.9%減少した。ホンダも前年の3位から順位は変わらなかったが、乗用車の「シビック」および小型トラックの「CR-V」の生産が落ち、5.8%減となった。

4位のゼネラルモーターズ(GM)は、小型トラックの生産が前年比6.5%減少し、2019年末にオンタリオ州オシャワ工場で「キャデラック・XTS」と「シボレー・インパラ」の生産が終了したことにより、乗用車も21.7%減となり、総生産台数は9.1%減少した。同社は、オシャワ工場での生産終了に伴い、約2,300人の人員削減を行うとともに、同工場の自動運転車試験場などへの転換を発表している(2019年5月10日記事参照)。

5位のフォードは、小型トラックの「リンカーン・ノーティラス」が前年比34.0%増と好調で、カナダで自動車生産を行うメーカー5社の中で唯一、総生産台数が前年より増加(4.3%増)した。しかし同社も、4,200人を雇用するオンタリオ州オークビル工場において2020年初頭に450人の人員削減計画を発表している。

自動車アナリストのデニス・デロジエ氏は「GMオシャワ工場が(2019年末で)閉鎖したことを考慮すれば、2020年には新たに12万5,000台の生産が減少することになる」とし、FCAやフォードの状況をみても、カナダの自動車生産業界の不確実性は明らかで、現状の生産施設を維持していくためには、全ての利害関係者がより一層の努力を重ねることが必要だ、とコメントしている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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