新型肺炎でマスクの国内需給逼迫、輸出許可を当面停止へ

(タイ)

貿易投資相談課

2020年02月19日

タイ商務省国内貿易局(DIT)は2月13日、新型コロナウイルスの感染拡大によるマスクの国内需要が急増していることから、当面の間、マスクの輸出許可を停止する方針を発表した。

同局は2月5日付でマスクを政府の統制品と指定し、1度に500枚以上輸出する場合を規制対象とした(2020年2月18日記事参照)。複数の現地報道によると、同月12日までに国内事業者から2,100万枚ものマスクの輸出許可申請を受け付けたが、いまだ許可を与えた事業者はいないという。ウィチャイ国内貿易局長は「外科手術用や産業用など特殊な用途に使うマスクに関しては許可を与えるか検討中で、その際は輸出量と同数のマスクを追加生産し、国内へ供給する義務がある」との考えを示した。

輸出規制と同時に、国内でマスクを必要とする消費者へ優先的に供給するため、商務省は国内生産者に対して、月当たり60万枚を商務省(MOC)、政府製薬機構(GPO)、タイ国際航空などへの優先的な供給を要請している。

日本向け高度防塵マスクも

現地の報道によると、タイ国内では現在、1日に平均130万枚のマスク生産能力がある一方、国内需要は1日当たり平均120万枚で、需要に対して供給能力の限界が近づいている。このような状況の下、国内の小売店などではマスクが売り切れの状況が続いている。輸出許可待ちの2,100万枚のうち、1,500万枚が中国向けとなっているほか、日本向け高度防塵(ぼうじん)マスクも対象になることが判明している。

(川崎楽区)

(タイ)

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