ジョンソン内閣改造、ジャビド財務相が辞任
(英国)
ロンドン発
2020年02月14日
英国のボリス・ジョンソン首相は2月13日、2019年7月の組閣後で初めての内閣改造を行った。これに絡み、サジード・ジャビド財務相が辞任し、後任にリシ・スーナック財務首席政務次官が昇格した。ジャビド財務相は次年度予算計画の公表を3月11日に控えていた。
ジョンソン首相はジャビド財務相に対し、同相顧問全員の解任や官邸による財政への大幅な関与拡大などを提示。同相がこれに激しく反発し、辞任に至った。首相の最側近の1人のドミニク・カミングス上級補佐官とジャビド財務相の確執が以前からあり、同補佐官らの強い意向が働いたとみられる。ただ最近では、中国の華為技術(ファーウェイ)の第5世代移動通信システム(5G)事業への参入容認(2020年1月30日記事参照)や高速鉄道「HS2」建設計画の継続などで、財務相は反対するカミングス上級補佐官を退けてジョンソン首相と合意を形成するなど(「フィナンシャル・タイムズ」紙2月13日)、影響力を維持していた。改造直前も、財務相を含む主要ポストの留任が予想されていたため、国内では大きな衝撃が走っている。
ブレグジット受けEU離脱省は解体
外相や内相など、財務相以外の主要ポストはいずれも留任した(表参照)。内閣で英国のEU離脱(ブレグジット)の際の「合意なき離脱(ノー・ディール)」対策を進めてきたマイケル・ゴーブ・ランカスター公領相も留任し、ブレグジット移行期間終了後に向けたさまざまな準備に当たる。一方、ブレグジットの実務を所管してきたEU離脱省は役割を終え、スチーブン・バークレイEU離脱相は、スーナック財務首席政務次官の後を継いだ。
取り沙汰されていた外務省と国際開発省、国際通商省とビジネス・エネルギー・産業戦略省の統合などは今回は実行されず、ビジネス・エネルギー・産業戦略相には、アロク・シャーマ国際開発相が横滑りした。同相は11月にグラスゴーで開催される国連の第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の担当相を兼任する。
財務相辞任の波乱はあったが、全体では3分の1程度の交代にとどまり、大方の予想どおり小幅な改造となった。
(宮崎拓)
(英国)
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