電子たばこの輸入を2月20日から禁止に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年02月20日

メキシコ政府は2月19日、連邦官報で政令を公布し、輸出入関税率表(TIGIE)を改定した。これにより、電子たばこ・同部分品、電子たばこ用の化学品に該当する関税分類(HS)コードを新設し、それらを輸入禁止品目とした。適用は2月20日から。

政令の前文と連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)の2月19日付プレスリリースによると、この背景には、2019年9月以降に米国で電子たばこ製品使用による急性肺疾患の報告が急増したこと、電子たばこは使用者だけでなく電子たばこから出る蒸気にさらされる第三者にも害を及ぼすとの報告書を世界保健機関(WHO)が1月21日に発表したことがある。電子たばこは通常のたばこよりもむしろ毒性が強く、副流煙を吸い込んだ人にも悪影響を与えるというWHOの見解を全面的に採用した。さらに、メキシコでは93万8,000人の若者が電子たばこを一度は使用した経験があり、そのうち16万人は常習者(全国薬物・アルコール・たばこ消費調査:ENCODAT2016-2017)とし、若者を中心に広がる電子たばこの害から国民を守ることを禁止の理由としている。

米国でも2020年に入って電子たばこに対する規制が始まっているが、米国の場合、液体の入ったカートリッジを装着するタイプの電子たばこが対象となっており、規制対象外の電子たばこもある。メキシコの場合は、ニコチンを含有するリキッドを加熱して蒸気やエアゾールを発生させるもの(メキシコでは「SEAN」と分類)と、同様の方式だがニコチンを含まないもの(「SSSN」)、たばこの葉のカートリッジなどを加熱するもの(「SACN」)の全てが規制対象となる。

販売行為のみならず輸入も禁止に

メキシコでは「たばこ管理一般法(LGCT)」(2008年5月30日公布、同年8月28日施行)の第16条VI項に基づき、「たばこ類似品」(たばこではないがたばこを想起させる商品)の生産や販売行為を既に禁止している。ただし、輸入を禁止する法的根拠はなかったため、個人輸入やハンドキャリーでメキシコに持ち込み、自ら消費することは可能だった。メキシコに出張に来る日本人ビジネスマンの中にも電子たばこを愛用している人を多く見かけるが、今後は輸入禁止品の扱いとなるため、税関などで電子たばこの持ち込みは没収の対象となる可能性が高い。空港などでの税関スタッフとの余計なトラブルを避けるためにも、メキシコ入国時には電子たばこを携行しない方が良いだろう。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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