北米最大の楽器展示会「The NAMM Show 2020」が1月に開催、好景気を背景に参加者増

(米国)

ロサンゼルス発

2020年02月25日

世界最大級の楽器・音楽機材展示会「The NAMM Show 2020」(以下、NAMM Show)が、1月16~19日にカリフォルニア州アナハイムで開催された。今回は130の国・地域から計2,000社7,000ブランド以上が出展。11万人を超える参加者がイベントに登録し、登録者数は過去2年間で20%以上増加するなど拡大を続ける。

同イベントスポンサーの1社であるヤマハは、今回もNAMM Show最大のブースで製品の展示を行った。ヤマハ・コーポレーション・オブ・アメリカの前垣宏親氏によると、同社は米国で鍵盤楽器や管楽器などで高いシェアを持ちながら、新技術を活用したマーケティングにも注力しているという。例えば、同社の自動演奏ピアノに搭載されている遠隔演奏の機能を積極的に活用した取り組みとして、米国と中国両方に自動演奏ピアノを設置し、米国にいるピアノ教師が中国の生徒に遠隔レッスンを行うという事例を挙げた。ほかにも、最近の同社取り組みについて、前垣氏は「自ら一歩踏み出そうとするお客様の勇気や情熱を後押ししたいという思いを込め、“Make Waves”を新たなブランドプロミスに据え、カジュアルな楽器ラインをそろえたり、音楽イベント協賛するなど幅広い顧客層の取り込みを進めている」と話す。

写真 ライフスタイルになじむデザインを追求したヤマハのギター「STORIA」ブース。試し弾きするゲストも(ジェトロ撮影)

ライフスタイルになじむデザインを追求したヤマハのギター「STORIA」ブース。試し弾きするゲストも(ジェトロ撮影)

ヤマハのみならず、NAMM Showには河合楽器、パール楽器製造、コルグ、カシオ計算機など、日本の業界大手企業が数多く出品する。米国のエレキギター市場においてギブソン、フェンダーと肩を並べるイーエスピー(ESP)の展示会場は、他のギターエリアと同様に、多くの若者を含む参加者でにぎわいを見せていた。同社社長のマット・マシアンダロ氏は、「今年のNAMM Showは特にギターエリアを中心に盛り上がっている。理由としては、好景気が業界に追い風になっていることと、数年前から音楽のトレンドがダンス音楽からギター音楽にシフトしていることが挙げられる」という。

写真 若者でにぎわうエレキギター大手ギブソンの展示エリア(ジェトロ撮影)

若者でにぎわうエレキギター大手ギブソンの展示エリア(ジェトロ撮影)

ヤマハや河合楽器、ローランドなど、日本の楽器メーカーが多く本社を置く浜松市では、2016年以降4年間にわたり、浜松市内の楽器関連企業の同展示会への出展支援を行っている。2020年の浜松市ブースでは、管楽器の加工を行う小沢精密工業、管楽器リペア器具を販売する久米、楽器製造販売を行うハーモテックの3社が出展を行った。

写真 浜松市ブースは人通りの多いエントランス近くに出品(ジェトロ撮影)

浜松市ブースは人通りの多いエントランス近くに出品(ジェトロ撮影)

また、楽器関連企業のみならず、新しいテクノロジーを展示する日本のスタートアップ企業も出展した。中でも、クリムゾンテクノロジーのボイス変換サービス「Voidol」は、事前に登録された音声へ誰でもボイス変換が可能という特許技術で参加者の目を引いていた。同社代表取締役の飛河和生氏は「リアルタイムで誰でも同じ声にボイスチェンジできるのが特徴。将来的にはテーマパークなどへの活用も視野に営業している」と話す。

次回のNAMM Showは2021年1月21~24日の日程で同会場において開催予定。

(トーレス久美子)

(米国)

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