2019年の欧州の総電力需要に占める風力比率は15%に拡大

(EU)

ブリュッセル発

2020年02月25日

欧州風力発電産業団体であるウィンド・ヨーロッパは2月17日、欧州の総電力需要に占める風力発電の割合が2019年に15%に達したと発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。欧州での風力発電設備容量としては2019年に15.4ギガワット(GW)相当が新規導入された結果、2019年時点の欧州の風力発電設備容量(累計)が205GWとなった。新規導入された15.4GWのうち、11.8GWが陸上風力、3.6GWが洋上風力の設備容量だという。2018年との比較で27%増となり、EUが推進する「欧州グリーン・ディール」(2019年12月13日記事参照)への貢献も期待されるが、同団体は欧州グリーン・ディールが掲げる目標達成にはさらなる設備増強が必要としている。

欧州グリーン・ディール実現には風力発電設備増強が急務

ウィンド・ヨーロッパによると、2019年の風力発電設備導入のために、欧州では190億ユーロ相当の新規投資が行われたとされる。うち、2019年に風力発電設備を最も導入した国は英国で、2.4GW(陸上・洋上)に達した。これに、スペイン(2.3GW、陸上)、ドイツ(2.2GW、陸上・洋上)、スウェーデン(1.6GW、陸上)、フランス(1.3GW、陸上)が続く。ただ、これまで欧州の風力発電設備導入を牽引してきたドイツについては、現状維持にとどまり、陸上風力発電設備の導入(2019年)は1.1GWと、2000年以降で最低水準となった。2020年についても、回復は期待できないとみられている。

他方、低調なドイツを補ったのがスペインとスウェーデンで、高水準の風力発電設備を導入した。2019年のフランスは、天候不順や政治と行政の混乱などの影響で、風力発電設備建設でも遅れがみられたが、今後については、復調が期待されている。

ウィンド・ヨーロッパのジャイルズ・ディクソン最高経営責任者(CEO)は「2050年までに欧州の電力総需要の50%を風力発電が賄うことを想定するEUの目標を実現するために、必要な風力発電設備建設はいまだ十分ではない」との認識を示した。EUが目標に掲げる「気候中立(温室効果ガス排出ゼロ)」や「欧州グリーン・ディール」のためには「2019年に実現した風力発電設備導入の水準の2倍以上の取り組みが陸上・洋上の双方で毎年求められる」と指摘した。

(前田篤穂)

(EU)

ビジネス短信 4f57c712f9587f42