フランスの大手企業がカーボン・ニュートラルの取り組みを強化

(フランス)

パリ発

2020年02月04日

フランスでは、2019年11月10日に施行されたエネルギー・気候法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、エネルギー法典が改正され、2050年にカーボン・ニュートラルを達成することが、エネルギー政策の目標の1つに追加された。また、EUレベルでは、2019年12月に欧州委員会が、2050年までにカーボン・ニュートラルを目指して「欧州グリーン・ディール」のためのコミュニケーション案を採択した(2019年12月12日記事参照)。こうしたエコロジー政策強化へのかじ取りを受けて、温室効果ガスの排出抑制にとどまらず、排出権の購入や植林などにより、カーボン・ニュートラルへ貢献する動きが、フランスの大手企業を中心に加速している。

企業向けに気候変動関連のサービスを提供するエコアクトが2019年9月に発行した、フランスの主要株価指数CAC40上場40社の気候変動対策を評価する年次報告書2019年版(2019年9月発行)によると、CAC40上場企業のうち、2019年にカーボン・ニュートラルの目標について言及したのは約半数で、コミット(約束)したのは25%だった。後者は、英国の主要株式指数FTSE100および米国のダウ30上場企業による割合を上回ったが、スペインのIBEX35上場企業による割合を下回った。また、2018年に温室効果ガスの純排出量がゼロの製品を提供している企業はCAC40上場企業の5%に過ぎなかった。ただし、この割合は2019年には18%に増加し、FTSE100、IBEX35、ダウ30上場企業における割合(それぞれ11%、11%、0%)を上回った。

同報告書において、CAC40上場企業のうち最も高い評価を受けたのはダノンだった(上記4株価指数上場企業の中では2位)。同社のミネラルウォーターであるエビアンは、再生可能エネルギーで製造され、温室効果ガス排出の残渣(ざんさ)は認証された植林措置で相殺されるため、温室効果ガスの純排出量がゼロだ。同社は、使用原料に占めるリサイクル原料の割合を、30%から2025年に100%を目指すとされる。次点は、BNPパリバ銀行(4株価指数上場企業では4位)で、温室効果ガス排出削減や再生可能エネルギーの利用、ケニアでの排出削減プロジェクトの支援、グリーンボンド債の発行が、高評価に貢献した。この2社に、シュネデール・エレクトリック、アトス、ルグラン、ロレアル、ヴェオリア・オンヴィロンヌモン、エンジ―、PSAグループが続いた。

また、2020年1月23日付「レゼコー」紙によると、ガラス・建材大手サンゴバンのドゥ・シャランダール社長は1月22日、「本年中に2050年温室効果ガス排出量ゼロのためのロードマップを策定する」とし、カーボン・ニュートラルの取り組みが2020年の重要課題の1つだと述べた。

(片岡進)

(フランス)

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