下堂園、日EU・EPAの自己申告制度の利便性を実感

(日本、EU、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリア、スウェーデン)

欧州ロシアCIS課

2020年02月25日

鹿児島茶を代表する品種「ゆたかみどり」を主力商品に、さまざまな商品を展開する下堂園(鹿児島市)は、オーガニック茶を武器に、ドイツを中心に欧州輸出に取り組んでいる。ジェトロは1月23日、同社で海外営業を担当する松澤厚作氏に、欧州ビジネスへの取り組みと日EU経済連携協定(EPA)の活用状況について聞いた。

下堂園は鹿児島県からの出展勧誘を受け、1990年に欧州で初出展したフランス・パリでの食品・飲料総合国際見本市SIALで十分な成果を上げられなかったため、翌1991年にドイツ・ケルンでの食品総合見本市ANUGAに出展した。そこでドイツでのパートナー(現地社長:マルクス・ハステンプフルグ氏)に巡り合い、欧州向け輸出を本格的に手掛けることになった。1998年にドイツの現地法人「下堂園インターナショナル」を設立し、ドイツ経由でベルギーやフランス、イタリアなど欧州各地に輸出するようになったという。現在は2カ月に1度、博多港からコンテナでハンブルク港に向けて輸出する。

欧州ではオーガニックが重視されている。鹿児島ではオーガニックに取り組む農家が増え、また多様な品種を取り扱っていることが、茶の品種を飲み分けとテロワールを楽しみたい欧州人の嗜好(しこう)に合致する。輸出の主力はリーフの茶。ティーバッグもあるが、リーフの茶が一番多く、一番茶から秋番茶までだいたい50グラムで5~30ユーロぐらい、抹茶だともっと高くて、30グラムで30~45ユーロぐらいのレンジのものを扱っている。抹茶は安価な抹茶をバルクで、スウェーデンなどの菓子メーカーに輸出するのが増えてきているという。高級な抹茶は日本でひかず、碾茶(てんちゃ)のフレッシュな状態で輸出し、現地で6台の石臼でひくが、よりフレッシュなものを現地で提供できるのが強みになっている。欧州ではヘルシーで、スマートで、文化的な飲み物として、ここ5~6年で注目され、定着してきたことにより、注文が増えており、日EU・EPAとの相乗効果で2019年は売り上げ・利益ともに前年比3割増となった。現在、海外輸出の6割が欧州向けだという。

写真 日本茶ブランドKEIKO商品(下堂園提供)

日本茶ブランドKEIKO商品(下堂園提供)

日EU・EPAによる特恵関税の利用については、インボイスの下の部分に申告分を記載している。ドイツの現地法人にも確認して記載しており、問題なく使えていると考えている。タイとのEPAでも特恵関税を利用しているが、手続きが大きく簡素化されたと認識している。特定原産地証明の場合、重量を書く欄があり、記載重量が結果的に異なってしまうと特定原産地証明を再発行しなければならず、タイミングが難しい。荷物が届いても、書類が届かず、保管料がかかるという事態が生じる。それに比べると、日EU・EPAで導入された自己申告制度は手間が掛からない、と松澤氏は強調している。

(田中晋)

(日本、EU、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリア、スウェーデン)

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