日EU・EPAが発効から1年、EU側関税は2月1日から2年目の引き下げ

(EU、日本)

欧州ロシアCIS課

2020年02月03日

2月1日で、日EU経済連携協定(EPA)発効から2年目に入った。EU側では、同EPAにより品目数で99%の関税を最終的に撤廃、うち96%は2019年2月1日の発効と同時に撤廃された。ただし、貿易額に基づく即時撤廃率は75%にとどまっており、日本からの全輸入の25%近くに相当する品目については、関税が数年かけて段階的に撤廃される合意内容となっている(注1)。

EU側が一定期間をかけて関税を段階的に撤廃・削減する品目については、2月1日に2年目の引き下げが行われる(注2)。日本からの輸入額の大きい品目をみると、2019年1~11月の輸入額が100億ユーロを超える乗用車では、発効時8.8%となっていた同EPA税率が2月1日から7.5%に引き下げられ、節税のポテンシャルがさらに年間1億4,000万ユーロ以上高まる(注3)。日EU・EPA発効以降の乗用車の日本からEUへの輸入(2019年2~11月)は、前年同期比で2割以上の伸びをみせており、関税率のさらなる引き下げが一層、輸出を後押しすることが期待される。バイク(同輸入額11億7,000万ユーロ)でも、例えば日本からの主力輸入の500cc超モデルでは、関税率が発効時の4.5%から2月1日には3.0%に引き下げられる。そのほか、ターボジェット・同部品、その他の核酸・複素環式化合物、玉軸受およびころ軸受などで、2年目の関税率削減メリットが特に大きい。農林水産食品でも、ホタテ貝、調製食料品の一部などで関税率が引き下げられる(表参照)。

表 2月1日から日EU・EPA税率が引き下げられる、特に日本からの輸入額の大きいEU側品目

EU統計局(ユーロスタット)によると、日EU・EPAが発効した2019年2月から11月現在までの日本からのEUの輸入額は621億9,000万ユーロで、前年同期比6.3%の伸びとなった。EPAの活用が進み、貿易額全体に影響するにはもう少し時間を要するとみられるが、直近3年間の輸入額の前年比伸び率(2017年:4.0%、2018年:2.1%)の中では順調な伸びだ。

ジェトロでEU側輸入の運用ガイダンス12月版の日本語仮訳を作成

なお、ジェトロでは日本企業の日EU・EPA活用のための情報として、欧州委員会が2019年12月に更新したガイダンス(2019年12月26日記事参照)2点の日本語仮訳をウェブサイトに掲載した。

(注1)数字は欧州委員会公表資料(2017年7月)に基づく。

(注2)EU側の2年目以降の関税率引き下げは、毎年2月1日に行われる。一方、日本側については、2年目以降の引き下げは毎年4月1日に行われるため、2019年4月1日に既に2年目の引き下げが行われている。

(注3)日本からの全輸入に対して、日EU・EPAを適用した場合の単純試算額(2019年11月までの輸入実績の108億3,274万ユーロに、発効2年目でさらに引き下がる1.3%分を乗じて試算)。

(根津奈緒美)

(EU、日本)

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