新型コロナウイルス感染が急拡大、経済活動への影響に懸念

(イタリア)

ミラノ発

2020年02月25日

イタリア国内で新型コロナウイルスの感染が急速に広がっている。イタリア保健省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(現地時間2月24日午後6時点)によると、感染者は229人(死亡事例:6人)と急拡大、ロンバルディア州で172人、ベネト州で33人、エミリア・ロマーニャ州で18人、ピエモンテ州で3人、ラツィオ州で3人の感染が報告されており、多くが北部に集中している。

イタリアでは、1月22日に保健相の下にタスクフォースを設置し、水際対策など必要な措置を取ってきた。イタリアに来た中国人観光客が陽性反応を示すなどの事例はあったものの(2020年2月3日記事参照)、大規模な拡大には至らずにきた。しかし、ここに来て急激な感染拡大を見せており、経済活動や市民生活に影響が出始めている。

特に感染拡大が著しいのがミラノを州都とするロンバルディア州だ。2月21日午後4時半(現地時間)時点での発表では感染者は6人だったものの、数日間のうちに一気に拡大した。州内で特に感染拡大が目立つ10のコムーネ(注)は「レッドゾーン」に指定され、21日時点でイベントや商業活動の中止などが指示されていたが、感染者が急速に増えたことを受け、23日にはロンバルディア州全域に指令が出された。それによると、「あらゆるイベントや会議の中止」「全ての保育施設・教育機関の閉鎖」「公的な博物館や映画館の閉鎖」などに加え、一部飲食店なども午後6時から明朝6時まで閉店、さらに、ショッピングセンターおよび市場内で営業する店は、食料品売り場を除き、土曜日および日曜日の営業を中止するよう命じられている。レッドゾーンを除き、現在のところ外出規制などは出ていないものの、公共交通機関にも影響が及び始めており、企業は在宅勤務を推奨するなどの対策を講じている。

イタリア北部、中でもロンバルディア州は一国の経済を支える重要な地域で、2018年の統計では、GDPはイタリア全体の約22%、輸出額は約27%を占める。経済の停滞が続くイタリアで、同州に対する経済的影響は国全体の景気低迷につながりかねない。

イタリア経団連(コンフィンドゥストリア)のマルチェッラ・パヌッチ事務局長は、感染拡大による経済への影響を緩和すべく、納税の保留や企業に対しての信用性の担保など、経済面での支援について政府と対話を行っていると述べている。なお、経団連は今週予定されていたビジネスイベントも延期をすることを発表した。

(注)日本の市に該当する。10のコムーネは以下のとおり。

コドッニョ、カスティッリョーネ・ダッダ、カーザルプステルレンゴ、フォンビオ、マレオ、ソマッリャ、ベルトニコ、テッラノーバ・デイ・パッセリーニ、カステルジェルンド、サン・フィオラーノ。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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