新型コロナウイルスの感染拡大を受け、イタリア政府も非常事態宣言を発表

(イタリア)

ミラノ発

2020年02月03日

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、イタリアでも緊張が高まっている。1月30日には、イタリアで初めて2人の感染が確認された。2人はイタリアに旅行に来た中国人観光客で、現在、ローマの医療機関で治療を受けているという。

イタリアでは1月22日、保健省の指揮の下でタスクフォースが設置され、各種情報収集や国際機関、専門機関などとの連携、また国内での予防対策などが進められていた。ローマのフィウミチーノ空港には武漢からの直行便が週3回就航しているほか、中国全土からはローマのフィウミチーノ空港に週34便、ミラノのマルペンサ空港には週25便就航しており、中国から到着した便については、着陸後に係員が機内に乗り込み、発熱などの症状がないか確認し、疑わしいケースについてはすぐに隔離させるなどの水際対策が取られていた。また、搭乗者に対しては旅程や行き先などを提出させていた。

しかし、世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を発表したことを受けて、1月31日にイタリア政府も非常事態宣言を発した。また、中国とイタリアをつなぐ全ての便を停止とすることを発表した。ロベルト・スペランツァ保健相も「2003年にSARSが発生した時と同様、必要な予防措置を講じ、国内の警戒レベルも高めていく」と表明している。

そのほか、約80人に上る武漢在住のイタリア人の帰還を支援するため、軍用機を用いた帰国の手はずを整えるため、イタリア政府と中国当局の間で調整が進められている。1月31日の発表によると、同便は2月3日朝にイタリアに到着する。

観光業への影響も懸念される。2018年の統計では、中国からイタリアへの観光客数は、ドイツや米国、フランス、英国に次いで5番目に多い。また、イタリア政府観光局の2018年10月当時の発表では、過去5年間でイタリアと中国を結ぶ便の本数は倍増しており、その伸び率は欧州で1番高かったという。観光大国のイタリアは、観光産業がGDPに占める割合は13.2%、また労働人口全体の14.9%が観光業に従事している。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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