インド商工省、HSコード「その他」分類を規制対象へ

(インド)

ニューデリー発

2020年02月05日

インドのピユシュ・ゴヤル商工相は1月15日、関税分類番号(HSコード)の「その他」分類での輸入申請に対し、分類の変更を呼び掛け、一定期間後は「その他」分類での輸入を規制する方針を表明した(「フィナンシャル・エクスプレス」紙1月15日)。この背景には、「その他」分類が輸入企業による規制品目逃れに使われ、高関税を免れる事例が増大している事情がある。

これと並行し、インド商工省商務局外国貿易部(DGFT)は、2020年1月17日付の通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、HSコードの「その他」分類に対して、輸入企業による品目分類の変更がされなければ、これまで自由に通関できていた品目を輸入規制対象とするとした。規制対象となった場合、品目によっては、輸入ライセンスの取得が義務付けられたり、高関税が付加されたりする可能性がある。

一方、輸入企業に対し、「その他」分類の利用がやむを得ない場合は、DGFT宛てに書面で回答するよう求めている。また、HSコード変更の確認や質問に対しても、ニューデリーのDGFTをはじめ、主要都市の所轄担当局8カ所で問い合わせを受け付ける(DGFTウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ゴヤル商工相は、輸入企業からの問い合わせ受付期間を30日間としている。

HSコードの分類は、5年ごとに世界的に見直され、現在、一般通関で適用されるHSコードは、2017年度版が最新となる。また、このHSコードの解釈や適用の判断は各輸入国に委ねられている。インドでは2017年1月から、2017年度版のHSコード分類に移行している。

今回の規制は輸入企業を対象とするが、インド進出日系企業にとっても、その影響が懸念される。とりわけ高品質、高機能の製品や原材料・部品をインドに輸入する場合、従来のコード分類に当てはまらず、インド側通関担当者によって「その他」分類に変更される場合もある。この動きを知った進出日系メーカーからは「すぐに海外調達の輸入品目を調べたら、『その他』分類からは外れていることを確認し、ほっとした」との声が聞かれた。インドでの通関トラブルには、HSコードの解釈の食い違いによるケースも多い。その上で、「その他」分類での輸入には、より細心の注意が必要だ。

今回の通達に対して、インドに拠点を持たない日系企業の輸出ビジネスへの影響も懸念される。輸出企業は、輸出製品のHSコードを確認し、「その他」分類に該当する場合は、輸入者を通じ、期日までにDGFTにその理由を申し立てる必要がある。

(大穀宏)

(インド)

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