香港とマカオへの渡航制限を緩和、ダイヤモンド・プリンセス号のフィリピン人乗員帰国支援へ

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月26日

フィリピン保健省(DOH)は2月18日、フィリピン人の香港とマカオへの渡航について、新型コロナウイルスへの感染リスクを認識・理解する旨の宣誓書に署名することを条件に、許可する決定を行った。ただし、対象は香港もしくはマカオでの出稼ぎのために渡航するフィリピン人労働者と、留学を目的に渡航するフィリピン人に限定し、観光目的での渡航は従来どおり禁止するとした。

フィリピン入国管理局(BI)のハイメ・モレンテ長官は本決定の理由について、香港で就労するフィリピン人労働者が職を失わないように配慮したものと説明した(2月19日付「フィルスター」ほか地元各紙)。香港で出稼ぎを行うフィリピン人が、フィリピンに送金する金額は2019年1~11月で7億1,519万ドルに達し、国・地域別で8位だ。

フィリピン政府は2月18日付で、香港とマカオからのフィリピンへの入国に関しても、一部緩和を実施した。2月2日以降、中国本土や香港、マカオからフィリピンを訪問する外国人(中国人を含む)について、フィリピンに永住権を持つ外国人を除いて、入国が禁止されていたが、2月18日以降はフィリピン人の外国人配偶者または子供、そして外交官の査証を保有する者の入国を認める決定を行った。ただし、フィリピン入国時から14日間の隔離が義務付けられた。

ダイヤモンド・プリンセス号の状況を注視するフィリピン

DOHは2月18日付のプレスリリースで、横浜港に停泊し、新型コロナウイルスの船内感染が発生しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で就労する538人のフィリピン人について、フィリピンへの帰国を希望する者の帰国を政府として全面支援する旨を発表した。

500人以上のフィリピン人労働者が搭乗する、ダイヤモンド・プリンセス号の状況に関するフィリピン国民の関心は高く、フィリピンのテレビや新聞などは連日、その様子を伝えている。

ただし、DOHのフランシスコ・デュケ長官は「ダイヤモンド・プリンセス号に搭乗するフィリピン人を含む全てのフィリピン国民の健康や安全のためにも、帰国を希望する者にはDOHの定めるガイドラインに従ってもらい、厳格な検疫手続きや感染確認検査を受けてもらうことになる」と説明した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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