マハティール首相が辞任、次期首相決定まで暫定首相として続投、与党連合の混乱が背景

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年02月25日

マレーシア首相府は2月24日、マハティール・モハマド首相が辞表を提出したと発表した。首相府は辞表を受理して同日、国王へ提出した。憲法では、首相の任命権や下院の解散要請に対する同意権などの権限は国王に与えられている。当地報道によると、国王は辞表を受理し、憲法第43条によって次期首相を任命するまでの暫定首相として、マハティール氏を任命した(国営ベルナマ通信2月24日)。

マハティール首相の辞表提出を受け、同氏が総裁を務めるマレーシア統一プリブミ党(PPBM)の党首ムヒディン・ヤシン内務相は自身のフェイスブックで、与党連合のパカタン・ハラパン(PH)からPPBMが離脱することを表明した。PPBM所属の下院議員26人がPHから離脱することになる。その後、マハティール首相は自身のフェイスブックで、PPBM総裁も辞任することを発表した。

PHの構成政党の1つであり、次期首相候補と目されているアンワル・イブラヒム氏が党首を務める人民正義党(PKR)からも離脱者が出た。アズミン・アリ経済相は、自身とズライダ・カマルディン住宅・自治体相、サイフディン・アブドゥラ外相、バル・ビアン公共事業相の4人の閣僚を含むPKR所属下院議員11人がPKRとPHから離脱すると自身のフェイスブックで発表した。もともと、下院(定数222)でのPHの議席数は139議席(サバ州の協力政党2党の10議席を含む)だったが、今回の一部議員の離脱を受けて102議席となり、過半数を割り込む。

PHに入っている民主行動党(DAP)の党首を務めるリム・グアン・エン財務相は「24日夜予定されるPH緊急会議でPHのマニフェストを完遂すべく、マハティール氏を首相として指名することをDAPとして提案する」との方針を示した(国営ベルナマ通信2月24日)。

新たな政党連合を組成か

PPBMやPKRから離脱した一部議員とサバ伝統党(WARISAN)に加え、現野党の統一マレー国民組織(UMNO)、全マレーシア・イスラム党(PAS)がともに新たな政党連合を計画しているとの報道もある。マハティール首相は2月21日、首相辞任は2020年11月のAPEC首脳会合後と発言していたが、一転して急な辞任となり、国内でも情報が錯綜(さくそう)している。今後、政治の混乱や不安定化が予測され、日系企業からも投資環境の急変などを不安視する声が上がっている。対ドルの為替レートも一連の動きを受け、1ドル=4.2215リンギと前日(4.1915リンギ)からリンギ安が進行した。

(田中麻理)

(マレーシア)

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