欧州委、新型コロナウイルス対策の研究に1,000万ユーロ拠出へ

(EU)

ブリュッセル発

2020年02月04日

欧州委員会は1月31日、緊急を要する新型コロナウイルス対策のために、EUの研究開発支援枠組み「ホライズン2020」予算から1,000万ユーロを拠出する方針を明らかにした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

迅速なウイルス対策の研究成果活用を目指す

欧州委は同措置について、より適切な予防措置および新型コロナウイルス感染者に対するより良いケア(効果的な臨床対応)のためのウイルス研究を主目的としている。欧州委によると、今回の措置では2~4プロジェクトを対象とすることを想定。事態の緊急性に鑑みて、研究助成申請者に対して2月12日までの申請(通常の申請期限は3カ月程度)を要請している。欧州委は、早急に研究に着手することを念頭にプロジェクト申請に対する認可(契約)手続きを迅速に行うほか、成果についても医療機関や保健衛生当局が速やかに活用できるように対応するとしている。

欧州委によると、新型コロナウイルス対策では、ホライズン2020による研究助成を得てウイルス情報の提供などに従事する国際的な非営利団体の欧州ウイルス・アーカイブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(EVAg)が、既に感染診断に必要とされる商品や情報紹介など約200件に関する55カ国・地域からの要請に対応しているという。

欧州委のマリヤ・ガブリエル委員(イノベーション・青少年担当)は、EUの新型コロナウイルスの感染対策について、より大規模な感染拡大の可能性に伴う影響の緩和に取り組んでいるとし、「ホライズン2020の緊急研究助成のおかげで、この病気への知見を深められる」「われわれのスーパーコンピュータセンターは新たな治療法やワクチンの開発で研究者に協力する用意ができている」と語った。

なお、欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会(ENVI)は2月3日、欧州でも感染拡大が懸念される新型コロナウイルス対策について、公衆衛生などに関わるEU専門機関の欧州疾病予防管理センター(ECDC)と協議を行った外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(前田篤穂)

(EU)

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