メルケル首相が南ア訪問、再生可能エネルギー連携に意欲

(ドイツ、南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年02月21日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は2月5~7日、南アフリカ共和国を公式訪問した。ドイツ首相による南アへの公式訪問は13年ぶり2回目。6日には2018年10月以来の南アのシリル・ラマポーザ大統領との首脳会談を行った。

ラマポーザ大統領は会談後の声明で、ドイツは南アにとって投資、観光分野などで最も重要な戦略的パートナーの1つだとし、南アでは既にドイツ企業約600社が活動していることに触れた。ドイツ企業は特に南アのGDPの約7%を占める自動車産業で存在感を示している。メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン(VW)が現地生産を行い、完成車を国内外に供給している。南アにとってドイツは輸出・輸入額ともに中国に次いで2位(2018年)で、重要な経済パートナーであることが改めて確認された。

また、南ア国内では目下、電力公社エスコムの経営危機により電力供給が大きな問題となっている。これを受け、メルケル首相は「ドイツは石炭火力発電依存から脱却し、再生可能エネルギーにシフトした経験を南アと共有できる」とし、「この分野で協力する用意がある」と意欲を示した(「シチズン」2月7日)。南ア政府は2019年10月に2030年までの電力統合資源計画(IRP)を発表したばかり。現在、電源の7割強を占める石炭火力の比率を2030年時点で43.0%まで下げ、再生可能エネルギーの比率を39.6%まで引き上げる計画が示されている(2019年10月29日記事参照)。

ドイツ国際安全保障研究所(SWP)のマレニー・ミュラー氏は、13年ぶりとなった今回の訪問の狙いについて、メルケル首相は南アのジェイコブ・ズマ前政権(2009~2018年)時代、汚職問題などを理由に距離を取っていたが、クリーンなイメージのラマポーザ大統領の就任を契機に、再び両国が親密になったことを確認し合うためと分析する(「ドイチェ・ビレ」2月6日)。メルケル首相は南ア訪問後の7日にアンゴラを訪問し、ジョアン・ロウレンソ大統領とも会談を実施した。

(高橋史)

(ドイツ、南アフリカ共和国)

ビジネス短信 143a06c1e1812434