新型コロナウイルス対策で中国3省に渡航歴ある外国人の入国禁止
(マレーシア)
クアラルンプール発
2020年02月19日
マレーシア政府は2月9日、国内での新型コロナウイルス感染拡大対策として、入国制限を強化した。発生源の武漢市を含む湖北省在住の中国人に対しては1月27日からビザの発給を停止していたが、湖北省と江蘇省、浙江省の3省に在住の中国人と過去14日以内にこの3省に滞在歴のある全ての外国人について、入国を一時禁止する措置を取る(2020年2月4日記事参照)。また、3省以外の中国全土に過去14日以内の滞在歴がある全ての人はマレーシアでの入国審査の前に保健当局による確認を受ける必要がある。
感染者は19人、うち3人が回復
保健省は2月13日、同日時点でのマレーシア国内の感染者が19人になったことを発表した(表参照)。うち、中国人は13人、マレーシア人は6人だった。マレーシア首相府によると、2月10日時点で中国人の感染者のうち3人が回復して退院したという。
2月7日には人的資源省が職場における新型コロナウイルスを含む感染症予防対策に関するガイドラインを発表した。ガイドラインには罰則などの法的拘束力はないが、従業員に対して医療機関での受検や自宅待機中の有給休暇の提供などを雇用者が適切に行うことを求める内容が主となっている。
また、新型コロナウイルスの影響が大きい国・地域として、中国やタイ、日本、香港、シンガポールからの帰国者に自宅待機を勧めることも言及している。2月13日現在、マレー語のみの公表だ。日系企業各社でも、中国への渡航や中国からの来訪者受け入れの制限に加え、従業員や来訪者への検温、消毒剤の設置といった対策を行う企業が増えている。
観光、小売り、航空業への景気刺激策を検討
マレーシア政府は2月11日、新型コロナウイルスの感染拡大による国内経済への影響を鑑み、特に大きく影響を受ける産業として、観光業や小売業、航空業に対する景気刺激策の検討を始めたと発表した。マレーシアホテル協会によると、2月9日までに約10万室の予約キャンセルが発生し、損失は4,000万リンギ(約10億4,000万円、1リンギ=約26円)に上るという。
(田中麻理)
(マレーシア)
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