住友商事が主導する経済特別区で基礎インフラ開発開始

(バングラデシュ)

ダッカ発

2020年02月07日

住友商事がバングラデシュの首都ダッカから東に30キロに位置するアライハザールで開発する「バングラデシュ経済特別区」が大きな進捗を見せた。2019年5月に住友商事とバングラデシュ経済特区庁(BEZA)がこの経済特別区開発の合弁契約を締結、12月に両者の合弁会社であるBangladesh SEZ(BSEZ)を設立した。1月27日に盛土や堤防、アクセス道路などの造成に関して、BEZAと東亜建設工業が契約を締結し、具体的な開発段階に入った。造成に関わる費用には国際協力機構(JICA)が供与する円借款が活用される。東亜建設工業による造成の完了後、BSEZが区画や道路、上下水処理場、配電・通信網などの工業インフラを整備し、2022年半ばの操業開始を予定している。

同経済特別区は、日本企業が開発する初の経済特区として注目を集めている。契約署名式に出席した首相府のカイカオス・アハメド首席次官は「経済特別区の開発は日本とのパートナーシップを象徴するもの」と歓迎し、「今後は開発協力ではなく、技術や商業取引でのパートナーシップが必要であり、主役は民間企業だ」と述べた。また、ポボン・チョードリーBEZA長官は「日本企業には技術や資金、マネジメントを期待する」とし、「投資手続きのためのワンストップサービス法を2018年に施行し、現在18の手続きのオンライン申請が可能だが、1年以内に全ての手続きをオンラインベースにする」と語った。髙橋一郎・住友商事ダッカ事務所長は「日本企業から多くの問い合せを受けており、バングラデシュ経済特別区への大きな期待を感じる」と話している。

バングラデシュは海抜が低いため、東亜建設工業が実施する洪水対策の盛土や堤防造成などは非常に重要な基礎インフラとなる。津波対策などでも高い技術を有する同社が土地造成を行うことで、バングラデシュ経済特別区は想定される洪水などの災害対策にも万全を期す。

写真 基礎インフラ整備に関する契約締結をした東亜建設工業とBEZA(JICA提供)

基礎インフラ整備に関する契約締結をした東亜建設工業とBEZA(JICA提供)

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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