スタートアップ支援で政府が2種類のファンド創立
(フィリピン)
マニラ発
2020年02月07日
フィリピンで2019年4月に成立したスタートアップ支援法「イノベーティブ・スタートアップ法(Innovative Startup Act)」の施行細則(IRR)が12月に発効した。
IRRは、スタートアップ・グラント・ファンド(SGF)と、スタートアップ・ベンチャー・ファンド(SVF)の2種類のファンド設立を規定している。IRRはファンドの具体的な資本金額を明記していないが、ジェトロが貿易産業省(DTI)に1月21日にヒアリングしたところ、SGFは30億ペソ(約66億円、1ペソ=約2.2円)、SVFは1億2,500万ペソの規模となる予定だ。
SGFは科学技術省(DOST)と情報通信省(DICT)、DTIが運営主体となり、選考されたフィリピン国内のスタートアップに対して助成金を拠出するためのファンド。SVFはDTIによって運営され、選考された投資家によるフィリピン国内のスタートアップへの投資のためのファンドだ。
IRRはさらに、海外のスタートアップがフィリピンで拠点を設立する場合の外国人創業者や外国人従業員に対するスタートアップ・ビザの発給、外国人雇用許可(AEP)の取得義務の免除、航空運賃の助成、フィリピン知的財産庁(IPOPHL)による知的財産権の登録申請や保護に関する支援などを規定している。
IRRは、フィリピン経済特区庁(PEZA)がDTI、DOST、DICTとの連携の上、「フィリピン・スタートアップ・エコゾーン(Philippine Startup Ecozone)」の設立を促進することも定めている。ラモン・ロペスDTI長官は2019年に地元メディアに対し、「エコゾーンはPEZAの一部になるのではなく、PEZAはあくまでエコゾーン設立をサポートする役割を担うだけ」と説明した。
フィリピン政府は、イノベーティブ・スタートアップ法とIRRの施行により、2022年までにスタートアップが1,000社創出されると予測する。
なお、2017年7月に上院に提出されたイノベーティブ・スタートアップ法(2017年12月15日記事参照)は廃案となった。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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