ビジネス界の2020年経済見通しは悪化、活性化と生産性向上が必要

(オーストラリア)

シドニー発

2020年02月03日

オーストラリア財界を代表するオーストラリア産業グループ(Aiグループ)は1月29日、2020年のビジネス見通しに関する調査結果を公表し、最高経営責任者(CEO)の多くが、2020年の経済情勢は2019年と比べて悪化するとみていることが分かった。Aiグループは「経済活性化と生産性向上のために早期の行動が必要」との見解を示した。

この調査は、Aiグループが毎年、オーストラリアのCEO252人にアンケート方式で実施しているもので、2019年10~11月に行われた。甚大な山火事被害が発生する前の調査にもかかわらず、2020年に自社の売上高や利益率、生産性が改善するとした企業の割合が2015年以降で最も低かったこと、設備投資や研究開発への支出を増やす計画があるとした企業も過去2年間で最も少なかったことなどが分かった。

2020年のビジネス成長の阻害要因として、「顧客需要の欠如」を挙げる企業が41%と最も多く、技術不足(20%)、高い賃金(11%)、労使関係の柔軟性(8%)など、雇用関係への懸念も引き続き顕著なことが報告された。こうした状況に対して、2020年のビジネス戦略として、既存製品の売り上げ改善(31%)や新製品の導入(26%)を挙げる企業が多く、オンライン販売の強化(13%)や国内外の新規市場開拓(国内10%、海外8%)なども検討されていることが明らかになった。

Aiグループのインズ・ウィロックス代表は「今回の調査結果で示された悲観的な見通しは、世界経済の不確実性とともに、エネルギーや気候変動、生産性の向上など主要分野における国内政策の不確実性を反映している」と述べた。2020年の優先政策事項として、山火事被害からの回復や投資促進のためのタイムリーな行動、生産性の向上を挙げ、「政府だけでなく、企業やコミュニティーも協調して取り組む必要がある」と指摘した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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