1兆円規模の中国支援インフラ案件の多くが遅延

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月28日

フィリピン国家経済開発庁(NEDA)のアーネスト・ペルニア長官は1月31日、ODAを財源とするインフラ開発案件のうち、中国の資金援助によって実施される案件の多くが進捗に遅れが生じていると発表した。2月3日付の「ビジネスワールド」ほか地元各紙が報じた。

NEDAによると、大規模インフラ整備計画「ビルド・ビルド・ビルド」の下で実施される75の基幹プロジェクトのうち、中国のODAによるプロジェクトが19あり、その供与総額は5,150億ペソ(約1兆815億円、1ペソ=約2.1円)に上るとされる。ペルニア長官は、そのうち開発が開始された案件はカガヤンバレー地方のチコ川灌漑揚水案件、およびマニラ首都圏の新水源となる予定のカリワダム建設案件の2つだけとした。一方で、日本の支援で進められるODA案件の進捗は速く、日比両政府が進捗確認のための会議を定期的に行い、緊密に連携ができているため、と評価した。

75の基幹プロジェクトのうち、2019年11月時点で建設が完了したのは2つ、建設中は9つにすぎない。NEDAは、2020年中に12、2021年に5、2022年に26の合計43のインフラプロジェクトが大統領任期の2022年6月までに完了すると説明している。

ドゥテルテ政権は2016年の発足以降、大規模インフラ整備計画「ビルド・ビルド・ビルド」を進めており、高速道路や鉄道、空港、港湾といった交通インフラを中心に、2022年までに8兆ペソの予算を投じる計画で、その財源の多くを国内や海外からのローンに頼っている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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