ジェトロ日系企業調査、生産地の移管比率、調達先の変更比率とも米国が最大

(米国、カナダ、メキシコ、中国、ASEAN、欧州、日本、世界)

海外調査企画課

2020年02月07日

ジェトロが、北米や中南米、アジア・オセアニア、欧州の各地域に進出している日系企業を対象に実施したアンケート調査(調査期間2019年8~12月)によると、通商環境の変化への対応策としてグローバルサプライチェーンを見直す企業が増える中、生産地の移管や調達先の変更を実施する日系企業の割合はいずれも米国が最大となった。

いずれの地域でも移管元は中国が最大

米中貿易摩擦による通商環境の変化への対応として、生産地を移管すると回答した企業比率は、米国、中国、カナダの順に高い(添付資料の図1参照)。いずれの地域においても「中国」の生産拠点を見直す回答比率が最も高い一方、移管先については地域差が出た。例えば、中国では移管先としてベトナム(54.2%)、タイ(25.0%)、日本(25.0%)、ASEANではベトナム(34.4%)、タイ(28.1%)、マレーシア(21.9%)が上位を占めたのに比べて、米国では移管先として米国(27.5%)、日本(27.5%)がベトナム(20.0%)を上回った。

調達先の変更先は多様

調達先を変更すると回答した企業比率は米国が4割弱と突出して高く、カナダ、メキシコが続いた(添付資料の図2参照)。9.9%にとどまった中国は、米国からの平均調達比率がわずか0.7%で、企業数でみても全体の1割に満たないことが主因だ。

調達先の見直し状況は各国間で大きな相違がある。米国では、中国からの調達を見直すとした企業が8割超と際立って高く、見直し後の調達先として米国や日本、タイ、ベトナムが上位に並んだ。メキシコでは、日本と中国からの調達を見直す企業が多く、見直し後の海外調達先としては米国が最大となった。同国では自動車・同部品企業が回答企業の多くを占め、NAFTA(北米自由貿易協定)見直しも含めたトランプ政権の下で変化する通商環境が、同産業の調達環境に影響を与えていることを裏付けた。ASEANでは、中国や日本からの調達を見直し、自国を含むASEAN諸国に切り替える動きが進む一方、中国では、見直す企業の6割が調達先を米国から中国国内や日本などに移すと答えた。

(秋山士郎)

(米国、カナダ、メキシコ、中国、ASEAN、欧州、日本、世界)

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