ウッタラカンド州政府が初訪日、豊富な水や農業資源などアピール

(インド)

アジア大洋州課

2020年02月13日

インド北部に位置するウッタラカンド州の州政府幹部が、日本企業の投資誘致のため初めて訪日し、2月3日に投資誘致セミナーを東京都内で開催した。昨今の日本企業のインド進出の流れを受け、日本での同州の紹介を決定したという。

同州はヒマラヤ山脈の麓に位置し、北は中国、東はネパールと国境を接する。ガンジス川やヤムナ川などの豊富な水源と天然資源に恵まれている。2000年11月にウッタル・プラデシュ州から分割され、新たな州となった。州の人口は約1,000万で、州都は州の東に位置するデラドゥーンだ。過去には投資企業に対し、法人税減免措置を導入していたこともあり(注)、デンソーやパナソニック、堀場製作所など、43の日系企業の拠点がある。国土の広いインドでは、進出先検討において市場や顧客との近接性が重要となるが、デラドゥーンはインドの首都で一大消費地のニューデリーから北に約250キロ、車で約5時間、飛行機では約50分と地理的な強みがある。

2月3日に開催されたセミナーでは、州関係者が特に投資機会のある分野を紹介した。農業・食品加工の分野では、プラムやモモの生産が国内1位と果物生産が盛んで、4つの気候帯を有するため1年を通じて多品種の野菜や果物が収穫できることを強調した。州側は、作物生産や原材料を活用した農業関連ビジネス、健康食品、加工食品製造への投資に期待を示した。これまでに、ネスレやハインツ、ユニリーバなどが進出している。

写真 2月3日に開催された投資セミナーに登壇したウッタラカンド州のスボドゥ・ウニヤル農業相(ジェトロ撮影)

2月3日に開催された投資セミナーに登壇したウッタラカンド州のスボドゥ・ウニヤル農業相(ジェトロ撮影)

同州には、ビートルズがヨガの修行をしたことでも有名な「ヨガの聖地」といわれるリシケシュがあり、観光業や健康関連ビジネスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)も注目分野だ。2020年4月には、ヨガやアーユルヴェーダ、オーガニック、美容健康などをテーマにした、同州初となるウェルネス・サミットを開催する予定だという。

このほか同州は、豊富な水や電力を強みにした製造業の呼び込みにも熱心だ。商用車などを製造するタタ・モーターズ、2輪車製造のヒーローなど、自動車産業の集積があり、2018年には電気自動車(EV)製造に対し、補助金支給などの優遇政策も発表している。また、製薬、医療分野にも注力しており、デラドゥーンから南に約50キロ、ガンジス川が流れる聖地としても有名なハリドワールには、医療関連企業を対象としたメディカルパークを整備する予定だ。

(注)2003年1月7日から2012年3月31日まで、商業生産開始か設備拡張をした企業に対し、法人税の減免措置を導入していた。

(古屋礼子)

(インド)

ビジネス短信 01b8085c717c6533