武漢市、新型コロナウイルス感染拡大を受け移動制限を発令

(中国)

武漢発

2020年01月23日

中国の武漢市政府は、市内で発生している新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大(2020年1月10日記事参照)を受け、1月23日午前10時(現地時間)から、市内の公共交通機関(地下鉄、路線バス、長距離バス、船)を運休すると発表した。鉄道駅と空港も閉鎖となる予定で、再開時期は未定。武漢市から市外への移動のみならず、市内移動も自家用車や自転車などを除いてはできない状況となっている。大移動となる春節(旧正月)間近だが、海外に行く予定だった外国人も含め、当面の間、武漢への滞在を余儀なくされる。

湖北省政府の1月22日の発表によると、同省をはじめとする13の省・市で、累計444人への感染が確認され、17人が死亡している。

また、武漢市衛生健康委員会(以下、武漢委員会)の1月21日の発表では、同市の感染者は累計258人が確認されており、そのうち51人が重症となっている。北京市や広東省、浙江省、上海市などでも感染者が出ているほか、日本や韓国、タイ、米国でも感染者が確認されている。

武漢市では感染者の増加を受け、市内の空港や鉄道駅などで体温検査を行っているほか、中国民用航空局は武漢天河空港を発着するフライトのキャンセルを無料にするなど、人の移動に関連した各種対策を実施している。

武漢委員会は当初、「人から人への感染は限定的」としていたが、発症元とされる市内の海産物市場を訪れていない人や、医療関係者への感染も発生していることから、「人から人への感染も起こりうる」として市民に注意を呼び掛けている。「うがいや手洗いを徹底する」「必要に応じてマスクを着用する」「部屋の換気をこまめに行う」「人が密集している場所は避ける」といった従来の注意喚起のほか、感染源の可能性があるとされる「野生動物にむやみに近付かない」といった点も呼び掛けている。また、感染の疑いがある場合は速やかに同市内の指定病院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで治療を受けるよう求めている。

日本の外務省は1月21日、中国での新型コロナウイルスの発生を受け、中国を「感染症危険レベル1」地域に引き上げ、渡航者や在留邦人に注意喚起をホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで行っている。

また、在中国日本大使館は武漢在留邦人に対し、在留状況を報告するよう呼び掛けている。

(片小田廣大)

(中国)

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