2019年の自動車生産は前年比4.1%減、10年ぶりの輸出減少が影響

(メキシコ)

メキシコ発

2020年01月16日

国立統計地理情報院(INEGI)は1月8日、メキシコの2019年の自動車(大型バス・トラックを除く)の生産・輸出・販売統計を発表した。輸出が前年比3.4%減と2009年以来の減少を記録したこともあり、生産台数は同4.1%減の375万841台に低迷した(表1参照)。国内販売は7.7%減で3年連続の減少となり、依然として国内市場に活気はみられない。

表1 自動車の生産・輸出・国内販売(大型バス・トラックを除く)

企業別に生産をみると、1位のゼネラルモーターズ(GM)が前年比3.6%増、2位の日産が11.8%減で、前年に引き続き対照的な結果となった(表2参照)。GMは国内市場向けの小型車の生産を中国に切り替えており、メキシコでの生産は米国市場で堅調なスポーツ用多目的車(SUV)およびピックアップトラックに集約させているため、対米輸出増が牽引してプラスとなった。他方、日産の生産車種はコンパクトセダンが中心で、米国市場のセダン販売の低迷が影響するとともに、国内市場向けの生産が相対的に大きいことから、国内販売不振の影響を強く受けた。生産が大きく伸びたのはホンダだが、2018年6月末に発生したセラヤ工場の洪水被害に起因する前年の生産減の反動といえる。逆に、前年比38.6%減と大幅に生産を減らしたのはマツダで、年初に導入した新型車マツダ3の生産立ち上げに苦戦したことや米国市場における同モデルの販売低迷が影響した。

表2 メキシコの企業別自動車生産台数(大型バス・トラックを除く)

米国以外への輸出は主要国向けで軒並み減少

輸出では、対米輸出がSUVを中心に2.9%増と堅調に推移した一方、そのほかの主要国向けでは軒並み減少した(表3参照)。その結果、全輸出の79.3%が米国向けとなり、対米依存度が前年より4.9ポイント上昇した。2019年は中南米、欧州、アジアなど米国以外のほぼ全ての仕向け地で輸出が減少したが、その要因は仕向け地によって異なる。中南米向けは、アルゼンチン経済の低迷やフォードのブラジル向け輸出の停止などが影響した。欧州向けは、欧州向けの比率が高いマツダの生産低迷が影響している。アジア向けは、アジア市場で人気が高く、メキシコでしか生産されていなかったビートル(The Beetle)の生産をフォルクスワーゲン(VW)が2019年8月をもって終了したことが影響した。

表3 主要地域別の自動車輸出(大型バス・トラックを除く)

企業別・仕向け地別輸出台数は添付資料を参照。GM、フォード、トヨタ、ホンダは北米向け輸出が9割を超える。日産と起亜は米州域内が中心だが、北米に加え、中南米向けの輸出も多い。VWやマツダの輸出は多角化されおり、欧州向けの輸出のウェイトも相対的に高い。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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