通信3社、携帯電話通信料を大幅値上げ

(インド)

ムンバイ発

2020年01月07日

インド通信大手エアテル、ボーダフォン・アイデア、リライアンス・ジオの3社は2019年12月1日、携帯電話向けプリペイド料金の値上げを発表した。値上げ幅は10%から45%程度(「タイムズ・オブ・インディア」紙2019年12月2日)。

エアテルとボーダフォンの2社は、未払いだった政府へのライセンス費用や電波利用料の支払いを特別損失に計上したことから財務状況が悪化、今回の値上げの一因となった。両社は12月3日から、ジオは6日から値上げを実施した。なお、エアテルとボーダフォンのポストペイド(後払い)プランは支払い与信の高い利用者が多いこともあり、料金を据え置いた。

2016年に参入し、価格破壊を巻き起こした新興ジオにより、インドのプリペイド式携帯電話通信料はかなり低い水準で安定していた(表1参照)。

表1 リライアンス・ジオのプラン例(筆者の加入プラン、値上げ前)

ジオの新プラン例は表2のとおりだが、最大で40%程度の値上げ後も依然として業界では最安で、インド全体も世界的に見て十分に低い水準にあるといえる。

表2 リライアンス・ジオの新プラン例(値上げ後)

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)と全インド商工会議所連合会(ASSOCHAM)の報告書によると、インドの2017年時点のスマートフォン利用者は4億6,800万人で2022年にはほぼ倍の8億5,900万人と予想している(「ビジネス・スタンダード」紙2019年5月10日)。現在、大手3社の無線通信サービス契約数の全てがスマートフォンなどの多機能端末というわけではないが、首位のボーダフォンが約3億7,500万件、ジオが約3億4,800万件、エアテルが約3億2,800万件となっている。

スマートフォンはインドでも重要な生活インフラになっている。スマートフォンを所有することで、タクシー配車アプリや食品配達アプリの登録ドライバーといった仕事に就くことができるなど、単なる無線通信や情報収集という手段にとどまらない利益と可能性がある。今回の値上げが契約数に影響を与えるか否かが注目される。

(比佐建二郎)

(インド)

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