上海市政府がビジネス環境改善を強化、日系企業の建議に回答

(中国)

上海発

2020年01月15日

ジェトロと在上海日本総領事館、上海日本商工クラブは共同で2019年10月18日、上海進出日系企業の提言や要望事項をまとめた「上海市のビジネス環境改善に向けた建議」(以下、建議)を上海市政府に書面で提出した。これを受けて12月30日、上海市商務委員会副主任と市生態管理局、市税務局、市薬品監督管理局、市税関、人民銀行上海本部など10部門の担当者がジェトロ上海を訪れ、建議に対する回答を手交した。

ジェトロなどは、2013~2017年に上海市政府に「中国(上海)自由貿易試験区」に関する建議を提出してきたが、2018年からはビジネス環境改善に向けた建議をするようになった。

2019年の建議は、「環境規制」「安全規制」「貿易」「通信」「会社運営」「金融」「税務」など11分野で計100項目にまとめた。詳細は上海日本商工クラブのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。上海市政府はジェトロなどとビジネス環境改善に向けて議論を進めてきたが、全ての項目に書面で回答したのは今回が初めてで、上海市側が日系企業のビジネス環境改善に真剣に取り組もうとする姿勢がうかがえる。今後はテーマ別の分科会を開き、上海市の管理部門と関連する日本企業との間で項目ごとに認識をすり合わせていく。建議の内容と上海市側の回答は後日公開予定。

上海市は世界各国・地域のビジネス団体とビジネス環境改善に向けた協議を実施している。1月2日には上海市で「上海市ビジネス環境改善兼投資促進大会」が開催され、上海市委員会の李強書記が「ビジネス環境改善を深く推進し、より国際競争力を持つビジネス環境を作っていく」と発言した。大会に合わせて「上海市における国際トップレベルのビジネス環境の建設の深化にかかる実施方案」(ビジネス環境改善3.0版方案)と「投資促進業務のさらなる強化により質の高い経済発展を推進するための若干意見」(投資促進強化32条)も発表された。

1月1日に外商投資法が施行され、中国への外資企業のさらなる投資が期待される中、上海市政府はビジネス環境改善に向けて、より一層意欲的に取り組んでいくと思われる。

(天野沙羅、宋青青)

(中国)

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