2019年のGDP成長率は0.7%、世界経済危機以来の低水準に

(シンガポール)

シンガポール発

2020年01月08日

貿易産業省(MTI)の発表(1月2日)によると、シンガポールの2019年のGDP成長率は前年比0.7%(速報値)だった(表参照)。2019年の成長率は、2018年のGDP成長率3.1%から大幅に縮小し、2009年の世界経済危機以来の低成長率となった。リー・シェンロン首相は2019年12月31日、国民に向けた2020年のメッセージの中で、「2019年のリセッション(景気後退)は免れた。われわれの経済は成長しているものの、期待していたほどの力強い成長ではなかった」と述べた。

2019年のGDPの分野別では、建設が前年比2.5%増、サービス業が1.1%だった一方、製造業は1.5%減となった。シンガポールの製造業を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。MTI管轄下のエンタープライズ・シンガポール(ESG)によると、2019年11月の非石油部門の地場輸出額(自国生産による物品輸出で、再輸出を除く)が前年同月比5.9%減と9カ月連続のマイナスになった。特に、エレクトロニクス部門の輸出額が2桁減となり、前年同月比ベースで12カ月連続のマイナスになっていた(2019年12月26日記事参照)。

表 シンガポールの実質GDP成長率の推移

2019年第4四半期(10~12月)のGDP成長率は、前期比年率(季節調整済み)で0.1%となり、第3四半期(7~9月)の2.4%から減速した。分野別では、製造業は7.3%減で、前期の8.9%増から一転、大幅なマイナスとなった。これは、エレクトロニクス、化学、輸送エンジニアリングの生産低迷によるもの。一方、建設は2.1%増で、公共工事の活発化により前期の1.7%減からプラスに転じた。サービス業も2.4%増と、前期の0.6%増からプラス幅が拡大した。

なお、MTIは2月中に、2019年通年のGDP成長率の改定値を発表する予定。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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