2019年の上海市GRP成長率は6.0%、一段と減速

(中国)

上海発

2020年01月27日

上海市統計局の発表(1月21日)によると、上海市の2019年の域内総生産(GRP)実質成長率は6.0%と、2018年を0.6ポイント下回った(表参照)。1991年以来の低水準で、全国平均の6.1%よりも低く、景気の減速傾向が一段と強まっている。

産業別にみると、牽引役である第三次産業の成長率(8.2%)は前年(8.7%)より若干減速したほか、製造業を中心とする第二次産業の成長率は0.5%で、2017年の5.8%、2018年の1.8%からさらに鈍化した。そのため、第三次産業のGRPに占める割合は前年比1.8ポイント増の72.7%へと高まった。

表 上海市の主要経済指標(速報値)

消費の指標である社会消費品小売総額は前年比6.5%増で前年より伸び率が縮まったが、このうち、インターネット販売は前年と横ばいの高成長を維持した。品目別にみると、化粧品、通信機器の小売額がそれぞれ21.8%増、21.3%増と大きく伸びた一方、ホテルと飲食業は4.3%増にとどまった。

投資の指標である固定資産投資は前年比5.1%増と前年並みだった。分野別では、インフラ投資が2.6%減と減少したものの、製造業投資はバイオ・医薬(79.0%増)、自動車(48.5%増)、石油化学(36.6%増)などが牽引し、全体で21.1%増となった。

米中貿易摩擦などの影響から、輸出入総額は前年比0.1%増となり、2017年の12.5%増、2018年の5.5%増から大きく鈍化した。輸出(0.4%増)、輸入(0.1%減)ともに、伸び率は0%前後へと低下した。主要輸出先をみると、EU向けは2.9%増、ASEAN向けは11.3%増と増加したが、米国向けは10.7%減、日本向けは2.2%減と減少した。

主要国・地域から直接投資は大幅増加

対内直接投資(実行ベース)は190億4,800万ドルに達し、前年比は2018年(1.7%増)の微増から10.1%増へと大きく伸びた。国・地域別にみると、大型案件である米国電気自動車大手テスラの投資が寄与し、米国からの投資額が前年比2.3倍の30億3,000万ドルに増えたほか、投資上位国のシンガポール(61.9%増)と日本(4.7%増)もそれぞれ増加した。また、投資全体の62.1%を占める香港からの投資も18.4%増えた。

(劉元森)

(中国)

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