2019年のCPIは前年比11.8%の上昇

(トルコ)

イスタンブール発

2020年01月20日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(1月3日)によると、2019年の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比11.8%で、国内生産者物価指数(D-PPI)上昇率は7.4%だった(添付資料参照)。トルコでは12月の指数をその年の指数と定義しているため、12月の前年同月比が年間の上昇率(前年比)となる。

12月のCPI上昇率は、最大のウエート(構成比23.29%)を持つ食品・飲料(アルコール飲料を除く)が、前年同月比で、10月の7.85%から10.89%まで上昇した。特に、加工食品が乳製品の価格上昇などから15.39%増となり、押し上げ圧力が大きかった。耐久消費財は、ベース効果(注)もあり、9、10月にマイナスに転じたが、11月にその効果が薄れたことや為替変動の影響から上昇に転じ、12月は10.27%増となった。また、価格上昇が続いたアルコール飲料・たばこは39.1%増と高水準にある。サービス部門は、運輸を中心に上昇し、賃貸とホテル・レストランも年を通じて2桁の上昇が続き、12月は全体で12.3%の上昇だった。

12月のD-PPI上昇率も、やはりベース効果の影響が薄れたことにより、前年同月比で10月の1.7%から、7.36%まで加速した。

トルコ中央銀行は、エルドアン大統領が2019年7月にチェティンカヤ中銀総裁を解任した後、金融緩和に転じ、政策金利を7月上旬の24%から12月までの5カ月間で12%へと大幅に引き下げた。さらにトルコ政府は、一部消費財に対する減税策などで消費を喚起させるなどの施策を取った。CPI上昇率は前年のベース効果を主因として、2018年10月の25.24%から、2019年10月には8.55%と1桁台に収まった。しかし、上述のようにベース効果が薄れたことなどから、12月には予想以上の上昇率となり、今後の利下げの余地を狭めている。

また中銀は、数々の通貨防衛策を実施し、2019年12月末にも外貨預金に対する預金準備率を引き上げるなど、トルコ・リラ売り圧力の軽減や預金の「ドル化」抑制を行ってきている。しかし、不安定な為替動向や金利低下傾向によって、トルコ国内では外貨ニーズが高まっており、2020年1月3日時点で、トルコ人が保有する外貨預金残高は1,943億7,700万ドルと過去最高を更新している。トルコ・リラは、対ドルで年初の5.3リラから5.9リラに下落しており、2018年初の3.7リラからは約37%減価している。

(注)ベース効果とは、比較対象となる前年同月の水準が高いために、インフレ率の伸びが低下することを指す。

(中島敏博)

(トルコ)

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